見たくなくても透ける心臓




夢主←凌統

甘寧殿に鍛錬を頼んで、一緒に鍛錬をしていた。私の大振りの大剣は一撃が大きいが隙を作ることが多くて何度か窮地を経験していたからだった。その点すばしっこく、機転の利く甘寧殿は私の憧れでもあった。なので、快く了承して貰えたことは嬉しかった。「ハァッ!!」大剣を横に振る。ガアン!と鋭い刃と刃のぶつかる音が聞こえる。その重さには流石の甘寧殿も「うっ」と苦鳴を漏らしたが、直ぐにそれを受け流し次の攻撃態勢に入る。私も次の攻撃態勢に入る。先手を取られたら仕舞なので、間合いを取り、一直線にぶつかる。ガキィン!と音がして、手が痺れた。「?!」「お前の攻撃は確かに重たいし強いのはわかるぜ、でも……、女のお前にその獲物は長時間扱えない」瞬間、刃が降り注ぐ



と思ったが「馬鹿甘寧!女相手にそれは無いんじゃねーっつーの?!」「?!凌統殿」事は無かった。凌統殿が獲物でそれを防いでくれたのだ。刃を潰してあるとはいえ、それが降り注ぐのは痛い事だったから嬉しかったが同時に武人としての自分の死を意味していて、憤った。甘寧殿もそれに気が付いてくれたようで「こいつから、鍛錬を申し込んできたんだ!馬鹿はてめぇだ!」そういって、武器を弾いた。「!そ、そうだったのか……」凌統殿が視線を彷徨わせた。そして、私を見るなり申し訳なさそうな表情を作って「申し訳ない事をしたな……その、出しゃばって……」「いえ、有難うございます……」ぎこちない空気が流れた。



それをぶち壊すように甘寧殿が「おい、凌統なんて放っておいて、鍛錬の続きしようぜ!」と誘ってくれたのでその誘いに乗った。凌統殿は項垂れながら何処かにいってしまった。なんか悪いことした気持ちにさせられてしまう。その後鍛錬は続いた。やっと終わったのは夕闇が手を広げているそんな時間帯だった。「お前強くなったなー」「いやぁ。甘寧殿には勝てませんからね、はぁ」「ま。そんな辛気臭ぇ顔すんなって、女のお前と俺じゃちげぇんだからよ」女だから。それはいつも私の枷に成って引き摺って歩くことに成る。女だから、武人としても舐めてかかられる。だから、私は少しでも、男に近づこうと選んだ武器が大剣だった。それを持ち上げるのには最初は苦戦もした。横に、縦に振るのにすら苦戦を強いられた。だが、今では私の相棒としてそれは役目を果たしている。長時間扱うのは無理だが。



「それにしても、凌統殿は私の事女として扱ってくれるんですね。甘寧殿もですけど」「そ、そりゃぁな……」物陰で誰かが溜息を吐いたことを私は知らなかった。「あんな乱暴者の甘寧の何処がいいんだか……自分だって本気を出せば、強い事を名前に証明したいっつーの」

Title すいせい


戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -