果実に含まれた毒素




(・反フィフス勢夢主が口のうまい白咲にじわじわ籠絡される。)


最初に抱いた感情と言えば、むかつくとかうざいとかそんなところだった。白咲とかいう何処かで見たような気がする変な髪型の奴はフィフスセクターの人間らしい。もう、この時点でろくでもない野郎だってわかっているのでこちらからは関わらないようにしていた。唯一、吹雪コーチと一緒の雪村はフィフスセクターに汚染されていないようだったので仲良くしていた。と言っても、それもすぐにおしまいを迎えたのだが。何故ならば吹雪コーチはフィフスセクターの圧力がかかったのか、消えてしまったのだから。それからの雪村は荒れに荒れて、フィフスセクターに付くと言ってしまった。



他の仲間も同様だった。おとなしく従っていれば、何事も起きずに平穏だからって白咲に従っている。……、そんなんでいいの?実際に今此処でフィフスセクターに強く反抗しているのは私だけとなってしまった。だけど、一人に成っても私の心は折れたりなんかしない。私は、フィフスセクターのやり方が嫌いだ。きっと、私だけじゃないはずなんだ。……本当は皆だって、全力で楽しんでサッカーをしたいはずなんだ……、白咲は相変わらずだ。「少しは俺の言い分も聞いてくれよ」「その必要はない」私にやたらと絡んでくる、しつこいし煩い。フィフスセクターは悪い物ではないんだってしきりに言ってくる。あいつ、私を洗脳する気か。その手には乗らないぞ。勝手にあんた一人でほざいていろ、石とかの奴も大嫌いだ。なんだ、あの乱暴者。元からいるメンバーも戸惑っているじゃないか。



「……はぁ」皆に力説しても誰も、味方になんか成ってくれない。何で皆あのフィフスセクターのやり方を通そうとするのだ。白咲がポンと肩を後ろから叩いた。払おうとしたが相手が笑んできたので戸惑う。「そう、落ち込むな。名前が言いたいことも俺はわかる、だけど、見てみろ。フィフスセクターが白恋に来てから雪村も覚醒できたし、他の仲間だって、あんなに統一が取れるようになった」……確かに雪村なんかは熱心に成った気がするし、あんな凄い化身だって覚醒した。心なしか、皆も統一が取れている気がする、タクティスクだって……。あ、れ……?「名前にもわかってもらいたいだけなんだ俺は。フィフスセクターは決して悪い物ではない。いや。勿論、名前を否定したいわけじゃないんだ、俺だってフィフスセクターのやり方にはなんだかなぁって思ったこともあるんだ」っていつもは崇拝しているんじゃないかって思う白咲が言うから私も興味が沸いてしまってつい、白咲に尋ねてしまった。初めての事だったかもしれない、やや面喰っていたようだったが、不意に口角を持ち上げて言った。



「フィフスセクターの訓練施設で行われていることは過酷なんだ。まあ、それは俺たちやチームの為でもある。最初は俺も少し反発したものだ」「……へぇ」「怪我とかも沢山したし、何度も逃げ出したかったこともある」白咲にもそんな人間らしいというか普通の人みたいなところがあったのかと、少しだけ安堵した。「だけど、今はフィフスセクターの人間としてやっていっている。フィフスセクターの全てが素晴らしいとは言わない、だけど、現実を見てみるといい。フィフスセクターによってもたらされる平等な勝利、勝敗……。俺たちの為でもあるんだぞ?今やサッカーは、大きな影響力を持っている。楽しいとかだけでは駄目なんだ」「……」白咲の言うことは尤もなような気がしてくるのは何故だ。白咲は辛いこともきちんと経験し、見てきたうえで言っている。だから説得力があるのだ。それに比べて私はフィフスセクターの敷地を跨いだことも無ければ、訓練を受けたことも無い。だから、白咲の痛みも知らないわけだ。



そして、私は勝敗指示とかが気に食わなくて反発しているだけだ。純粋にサッカーが好きな人を馬鹿にしているとただ一人、反発しているだけだ。「……俺を誤解しないでくれよ?俺は別に名前が嫌いで言っているわけじゃないんだ、ただ、俺はもっと、名前と仲良くなりたいなぁと思って言っているだけなんだ。だって、お前は俺をフィフスセクターの人間だから、ただこれだけの理由で避けて俺との接触会話すべてを拒むじゃないか。そうだろう?」「そ、そんなこと」そんなに露骨だっただろうか、いや、露骨だっただろう。私の気持ちなどが顕著に成っていたはずだ。それを白咲はどう思っただろう?「……怒っているわけじゃないんだ。ただ、これから少しずつお互いを知っていって、仲良くなれたらなと思っているだけなんだ」



わかってくれるだろうか?そういって私の肩にそっと手を置いて、何処か寂しげな表情を浮かべた。「……っ、ごめん、なさい、」「いいんだ、気にしていないさ。これから、改めてよろしくな?名前」そういえば、……白咲とまともに話したのはこれが初めてだったかもしれないと思った。いつも変な事を布教して来るとか勝手に思い込んでいただけで私は白咲の事もフィフスセクターの事も誤解していたのかもしれない。白咲の邪悪な笑みは私には見えなかった。



あとがき

白咲君、初書きだったのですが、案外すんなりかけてしまって驚きました。きっと貰ったシチュが書きやすかったんだと思います。偽物感は否めませんが夢主が洗脳?されていく過程は書いていて楽しかったです。



title カカリア


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