無題



『彼女欲しいとか思わないの?』


「興味無いな。俺にはやるべき、ことがある。」




なんて会話したのは、まだ入学した頃だった。入学したばかりの時、隣の席だった御門君はなんだか素っ気なくてあまり話してくれなかった。けれど、毎日毎日話しかけていると次第に御門君からも話してくれるようになった。御門君は、確かにちょっと素っ気なく感じるかもしれないけれど、本当はすごく優しくて紳士的だったりする。そんな御門君に惹かれていたから、冒頭のような質問をふとしてみたくなった。すると、思った通りの返事が返ってきた。やるべきことって云うのがよく分からないけど興味無いという言葉に何の違和感も感じなかった。

御門君は、明るい感じの可愛い女の子が大きな声ではしゃいでいた時、怪訝な目で見ていたり、話しかけてくる女の子に素っ気なかったり。いかにもって感じで興味無さげだった。だから、なんとなくそんな言葉が返ってくると分かっていた。しかし、まぁ想いを寄せている側からしたら、少なからず落胆する。



あれから一年と数ヶ月が経って二年生も半ばが過ぎようとしていた。

二年生になり、クラス替えがあった。その時、御門君とは別のクラスになってしまい話す機会が少なくなってしまい、ホーリーロードが、あった時なんかめっきり話さなくなってしまった。

しかし、ホーリーロードが終わった後御門君が頻繁に話し掛けてくれるようになった。



『ホーリーロード残念だったね』


「あぁ、」



今は、御門君に誘われたので部活の見学に来ていた。部活も終わり部員達は、疎らに帰って行った。その際、御門君は部員達に何か言われていたみたいだったけど、私からは聞こえなかった。

私と御門君は、ベンチに肩を並べ座ってサッカーフィールドを眺めていた。

でも、不思議と何時もみたいに会話が弾まない。何となく御門君が何時もと違って見えたからかもしれない。何だか、そわそわしてるような…
取り敢えず、黙っているのに耐えかね話題を切り出してみた。



『サッカーって面白いね』


「興味持ったか?」


『うん、…マネージャーやってみようかなぁ…なんて』



冗談混じりにそう言うと、御門君は一瞬嬉しそうに笑いかけたが少し考えてから険しい表情になった。



「だめだ」


『えっ…?』



少し前に同じ事を言った時は、賛成してくれていたのに急にどうしてだろうと首を傾げ御門君の顔を見上げた。
すると、ぱちりと目が合って御門君の顔がかぁっと赤くなっていった。



「他の…っ」


『他の…?』





「他の奴と、あんまり話してほしく無い…」



赤くなった顔で目を逸らされながら紡がれた言葉は、私の頭に疑問符を増やした。



御門君は、何故か照れながら再び私と視線を合わせた。





「名前が…、好きだ」




暫く状況が呑み込めず呆然としていたが、言葉の意味を理解した頃、自分の顔は今までに無いくらい暑くなった。




『え、…だっ…て…、いつから…』



「…一年生の始め…だ…」




私は、心底驚いた。そして、少し気まずそうに言われた言葉に違和感を覚えた。



『で、でもっ…!あの時…、彼女とか…興味無いって…』



「あの時は…っ」



御門君は、言葉を詰まらせてから、すまなかったと呟いた。確かに、あの時は何だかトゲがある感じで何か抱えているような感じがあった気もする。だから、あえて深くは聞かなかった。それより今は、私の頭の中は先程の告白でいっぱいになった。



「名前、…さっきの返事は…、いつでもいい」



『あ、あの…』



頭は、浮かれっぱなしで逆上せているような気分だったけれど、私の気持ちはあの頃から全く変わっていない。



『私も…ずっと、好きでした』




「…っ!…そ、そうか」



そう言った御門君は、微かに顔を綻ばせた。私もつられて頬が緩む。

その後、今日は気持ちを告げるため誘ったのだと照れた表情で聞かされた私は何となく気恥ずかしくも暖かい気持ちになった。


二人で学校を出ようとすると、帰ったと思っていたサッカー部の人達がいて御門君がこれでもかって程にからかわれていたけれど、御門君はそれでも私と繋いだ手を離そうとしなかった。




【あとがき】
永樹様!大変お待たせ致しましたm(_ _)m
こ、こんな感じでよろしかったでしょうか(´・ω・`) 硬派な感じが掴めずに本当申し訳ありません(汗)
それから、応援メッセージありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m


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うわあい!有難うございますっ!今一番私の中で、熱かった御門君をリクエストさせていただいたのですが、自分の欲望に素直に生きてよかったなぁと思った瞬間でした!ちょっとそっけない感じにキュンキュン来ました!素敵な御門君を有難うございました!あと、新サイト設立本当におめでとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

永樹

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