彼と彼女と散歩道



彼と彼女と散歩道


付き合っている。というのは他人から見てもわかるらしい。ただ、付き合って何をしているのかは、正直わからないらしい。当たり前だ。デートどころか、一緒に帰るということすら滅多にしないのだから。そんなとき二人に言われたのが、雅野の「お二人は付き合って、何をしてるんですか?」だ。そんな雅野に、二人は揃って「昼食を供にしてる」「(時間が被ったら)一緒に登校、下校している」などと答えた。あとは、愛を育んでいるらしいが、その内容はやめておこう。
そんなこんなで、名字名前は1つの決心をしたのだ。そう、龍崎とデートをするという決心を。

「なので皇児くん、私と一緒に散歩をしましょう」

それがついこの間、彼女が発した言葉である。なぜ散歩なのか。なぜ遊園地でも水族館でもカラオケでもなく、散歩なのか。流石に初デート(もどきではあるが……)がただの散歩というのは可哀想だ。彼女なりの考えがあるのか。或いは本当にただの散歩なのか、それは本人のみぞ知ることではある。今現在は、ただ桜並木を見ながら歩いているだけという状況ではあるが。

「ごめんなさい、皇児くん。散歩なんかにしてしまい。私はデートでどこに行けばいいのかよくわからないんです……」
「気にしなくてもいいんじゃないのか?俺もデートとかはわからないし。名前それでいいなら構わない」

しかし今の会話を聞く分には、どうやら散歩以外のことはしないらしい。(まあ、こういうのもいいかもな)龍崎はそう思う。何かするわけでなく、二人揃って似ても似つかぬ風景を見る。今はまだ、それだけも十分だ。
そよ風が吹けば、二人の髪が、名字のスカートがゆれる。やわらかな香りを乗せて。

「あ、そうだ、皇児くん」
両手を胸の前で合わせ、閃いたと言わんばかりのポーズをしてみせる。それでも歩くスペースは、これ以下にならないらしい。

「手を、繋ぎませんか?」

龍崎はそのレアな発言に、目を丸くするしかない。意外過ぎたのか、一瞬動きが止まるほどでもある。
しかし龍崎のことだ。普通こういう行動は、然り気無く自然にする。そういう認識を持っていたのだろう。「だめですか?」と上目遣いに聞いてくる名字に、もちろん龍崎が断れるわけもない。そして断る理由もない。

「嫌なわけねえよ」

ぐしゃぐしゃと名字の髪を掻き乱し、龍崎は左手を差し出した。




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龍崎とほのぼのお出かけに、一応なったのかな?って感じです。アニメでもゲームでも、セリフは無いが如しの龍崎。口調が相変わらず迷子でした。
どうでもいいですが、序盤のほうで、雅野を出したのは普通にれいわの趣味ですね。あとタイトルは、某香辛料からいただいたり。心底どうでもいいことです。

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10万HITのフリリクで頂いてまいりました。龍崎君に骨抜きにされていたので、龍崎でほのぼのなお出かけ〜をリクエストさせていただいたのですが、予想以上にほのぼのもマッチしていて画面の向こうでニヤニヤしちゃいました。れいわ様はなんでもかけるんだなぁ…。雅野も大好きだったので出してもらえて本当嬉しかったです。れいわ様の素敵な文章とサイトへは、リンクから飛べます。永樹

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