ロストヒーロー




(・光良で狂愛、夢主は磯崎の彼女)
磯崎が刺される。流血表現有り。


▼月×日
今日もとってもとっても、名前は可愛いです。でも、磯崎と付き合っているというデマが流れていて俺はとっても不愉快です。何故なら俺こそが名前に相応しくて幸せにできるからです。そういえば、最近確かに磯崎と一緒に居るような気がする。もしかしたら、付きまとっているのかな?だったら、やめさせないとね。


昨日日記にそう書いた。だけど、それは事実らしい。目の前の磯崎に言われた。どうして、よりにもよって磯崎なんだろう。確かに磯崎はキャプテンだし俺よりしっかりしているしサッカーだってうまいし、硬派だし……あれれ、俺よりいいところ沢山あるや。でも、俺だって化身出せるしシードだし同じ土俵に十分立てるくらい凄いのになあ!って、そうじゃないんだよ、だってさ俺の方が磯崎より名前のこと大好きだし、毎日毎日ちゃんと名前が変な奴に襲われないか心配でさ送ってあげているの。磯崎の奴は鋭いあの目をぎらつかせて俺を絞殺さん勢いで「もう、名前をストーカーするんじゃねぇ、名前は俺の女だ。お前になんか絶対にわたさねぇ」だってさぁ。変なの!「あっはははははははは!名前はお前に脅されているんだ!そうだろ!お前怖いから、名前は仕方なくお前と付き合っているんだ、きっとそうだ!」



あはは、そうだそうだそうだ!磯崎は強面で怖いもんな。脅し文句はこうか?「俺と付き合わねーと潰す」とか?俺はよく、何考えているかわからないと言われるけれど顔は可愛いとか言われるし!でも、名前に言ってもらえなきゃ意味ないよね!あああ!名前可哀想可哀想!俺が助けてあげるからね!磯崎は確かにいいキャプテンだけどさ、そういう所さいてーだよね、本当!名前の元へ行こうとしたら磯崎にユニフォームの上を思いっきり引っ張られた。「てめ!名前に近づくんじゃねぇ!名前はてめぇの事を怖がっているんだよ!ちゃんと現実を見やがれ!」「いやっ!離せ!お前が脅しているくせに!名前、名前!」「み、光良君……」名前が磯崎の鋒鋩を避けるように、そっぽを向いた。「光良、手前……本当に俺と名前が思い合っていることすらわからないのか?俺と名前はお互い好きあっているんだ。手前もさっさと名前を諦めやがれ」「きゃはっ、そんなわけないだろ!そうだよね、名前、答えてよ」冷徹で、他者を好きになった事なんか無い癖に。俺はね、名前が大好きだよ、お前よりも世界中の誰よりもだ!それなのになんで……「ごめんね、光良君、私……研磨君が好きなの」



その後の出来事の一切が頭から抜け落ちている。研磨君が好きなのと言ったあの時の俺を見たときの真摯さ。それから、恋い焦がれた女子の目。俺はあれを良く知っていた。何度も見たことがあるから。俺の瞳に宿している物とも近い、だけれども、俺の目のそれとは違う気がした。俺の目は灰色に澱んでいる、深く深くなにも寄せ付けないような暗い闇。「うぅ、あああああ!」磯崎め、磯崎がいなければきっと俺は名前にとっての一番だったんだ!そうにきまっている!あいつの何処がよかったんだ!俺と何が違うの?!化身だって出せないしさ!ぜーったい俺の方が幸せにできるのに!名前どうして、俺じゃないの。こんなに一番思っているのに。そんなんじゃシアワセを逃しちゃうんだよ!こんなに沢山名前のこと毎日考えて毎日名前の送り迎えをしてあげていたのに本当酷いよね!そうだ、今日のことも忘れないうちに日記に書いておこう!


●月△日
名前は絶対に磯崎に脅されていると思っていたのですが、どうやら名前も磯崎が好き、らしいです。どうしてどうしてどうして。磯崎が初めて邪魔だと思いました。名前も名前です。二人とも許せない。


磯崎のガードが固くなったような気がする。滅多に名前に近づけなくなった。家までの送り迎えも俺の全てのポジションを奪い取ってしまったせいだ。磯崎が居ない日も毒島や篠山も危ないからと磯崎の代わりを務めている。俺と名前の邪魔をする奴なんて皆、いなくなっちゃえばいいのに。


●月■日
名前に逢えなくなってから一週間も経ってしまいました。胸が苦しくてたまりません、全身が名前を求めてやみません。篠山も毒島も邪魔をしてきます。皆消えろ、邪魔しやがって。あいたいあいたいあいたい、


気が付いたら、手には大型の刃物を持っていてそれがぬらぬらと赤黒い物で濡れ、光っていた。床には磯崎がうつ伏せに突っ伏している。そういえば、話しがあると言って俺の部屋に呼んだんだったっけ。ただ、前後は覚えていない。毎日つけていた、日記にもべったりと血が付着していてそれがやけに笑えた。俺の携帯は着拒されているから磯崎の鞄から携帯を取り出して名前に電話をかけた。名前はすぐに出た。俺の時と違って明るい声だった。「あ、けんまk「俺だよ!磯崎はもういないよ、これで名前は俺と付き合ってくれるよね?」名前が携帯越しに甲高い悲鳴をあげた。キンキンする。「……み、みつよし、……名前、に……手を、だ、すな……」あれ、磯崎まだ生きていたんだ。血で濡れた震える手が俺の足を掴んだ。目は虚ろで光を失い、衰弱しきっている。俺はそれを足で押しのけた。「磯崎に恨みは無かったけど、仕方なかったんだよ!安心して!名前は俺が幸せにするから!」さあ、日記を書こうか。血でちょっと汚れたけど大丈夫!これからも、名前とのことを書いて行こう!



あとがき

すみません;流血させてしまいました。狂愛ということで、ひたすら狂った感じを目指してみたんですけど夢主の影が薄くなるという事態が発生してしまいました。流石に刺したくは無かったんですが…流れ的になってしまいました、すみません。雪亜様有難うございました。


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