会いたくて


【会いたくて】P飯


「親ばなれ?」

険しい顔でピッコロがデンデに尋ねる。

「そうです」
「悟飯が来なくなったのは、その『親ばなれ』のせいなのか?」

いつも神殿に遊びに来ていた悟飯はいつしか神殿に来なくなってしまった。それ以来ずっと悟飯が今日こそは現れるのではないかとピッコロは時折雲の下を眺めていた。気になるなら下界を見ることなど容易いことだがピッコロにはそんな悪趣味はない。デンデはピッコロが気にしていることを悟り、そう話したのだ。

「正確には『師匠ばなれ』だな」

デンデの隣にいるクリリンが割って入る。


この神殿はセルとの戦い後、戦士達の集いの場となっている。クリリンがマロンの子守を女房の18号に任され、散歩にと神殿を選び、デンデと一緒に子守をしている。

「悟飯ももう高校生だ。いつまでも師匠の傍にいる訳にはいかないだろ」
「そうゆうものか…」

少し寂しそうにピッコロは呟く。

「そうゆうもんなの。そんなに気になるならさ、テレパシーでもなんでもすればいいじゃねぇか」

軽々しくクリリンは言う。

「俺はそんなにまでして悟飯を来させようとは思わん…が…」

縛りつけて置きたい…。

ピッコロの脳裏に何かがピシッとひび割れる鈍い音が鳴り響く。ピタッと言葉が止まったピッコロにデンデが心配そうに見る。クリリンも自分が何か気に障ることを言ってしまったのかと慌てふためく。

「ピッコロさん、大丈夫ですか?あの、ボクはまた悟飯さん、来てくれると思いますよ」
「そ、そうだよな。あんなにピッコロに懐いてたんだ。きっと今は学校が忙しいんだろ」

気遣ってピッコロをなんとかしようとデンデもクリリンも必至だった。そんな時、先程まで話題となって持ち切りだった本人があっさりと神殿に顔をだしたのだ。デンデもクリリンも驚いて目を擦ったり、お互いに軽く頬を抓って目に移る人物が幻ではない本物であることを確認した。

「こんにちわ。突然来れなくなってすみません。ちょと色々立て込んでまして…」

真っ先に悟飯は誤った。なんでも学校のテストやグレートサイヤマンの仕事で忙しく神殿に足を運ぶこと冴え出来なかったと云う。それならそうと一言くらい伝えればいいのにとクリリンが苦笑いする。それすら出来ないほど多忙な日々を過ごしていという。デンデは何より悟飯が元気でまた神殿に来てくれたことが嬉しかった。そしてデンデよりも嬉しかったのはずっと気にしていたピッコロだろう。

「良かったな、ピッコロ」
「良かったですね、ピッコロさん」

明るくデンデとクリリンが声を揃えると、ピッコロはクルリと背を向け何も告げづ神殿の置くへと歩き出す。

「お、おい、ピッコロ!!」

引き止めようとクリリンが声を上げてピッコロの名を呼ぶが、それも虚しく薄暗い神殿の中へと消えて行った。

「僕、様子見て来ます」
「オ、オレも行く。あいつなんか変だ」
「いえ、僕ではないとピッコロさんは駄目だと思います」

ニッコと微笑んで、クリリンの腕の中でいつの間にか眠っているマロンの頭を撫でて悟飯も消えて行った。

神殿の奥に進むと一つだけ扉が空いている部屋を見つけて悟飯はなんの戸惑いもなく足を踏み入れ扉を閉めると、ピッコロはベットに座り腕組みをして俯いていた。悟飯が部屋に居ることは気配でわかっているはずなのに顔を上げようとも、声を掛けようともしない。それでも悟飯はピッコロの傍まで行く。

「変わったんだな、悟飯」

やっと言葉を発してくれたと思ったピッコロの声は暗かった。セル戦後、悟飯は成長をし、更に変わってしまった。しかしピッコロの中ではあの時のまま自分だけが変わっていないのだと情けなくなってしまう。

「何も変わってませんよ」
「嘘をつけ、もう貴様はオレの傍にいなくても構わんのだろう」
「僕は会いたかった。ピッコロさんに会いたくて会いたくて堪らなかった。毎日ピッコロさんで頭がいっぱいだった。今もピッコロさんを振り向かせるのでいっぱいいっぱいなんです」


わかって下さい。僕の気持ち―

悟飯は奮えながらピッコロを抱きしめる。

「俺とて会いたかった。だが、もうこんな苦しい思いはしなくない。俺はどうかしているんだ」
「何言ってるんですか。ピッコロさんはピッコロさんですよ」
「違う…俺は悟飯に何をするかわからん」
「え?!う、わっ…!!」

悟飯は一瞬体が宙に浮いたかと思うとベットに倒され、両手を捕まれた。

「俺は悟飯をここに縛り付けて置きたいと思うほどだ。それに気がついたのは、いましがただがな…オカシイだろ?」
「そんなことないです。僕だってピッコロさんの傍に四六時中居たい。愛されたいし、愛して貰いたい。どんなことだってピッコロさんになら…」

ピッコロを目の前に、ものすごい『愛の告白』をしていることに気がついた自分自身に羞恥して言葉を止める。

「…悟飯が望むなら俺はなんだってしよう…だが、突然いなくなるな…俺が辛い」

ここまでピッコロが胸の内を曝け出すほど悟飯はピッコロに辛い思いをさせたかと思うと悟飯も胸が苦しくなった。

「僕はピッコロさんが大好きです」
「あぁ、俺もだ…悟飯」

互いの瞳が重なり合い、同時に唇を重ねて燃えあがる。何度も何度も唇の角度を変えて想いを確かめ合う。ピッコロも悟飯も愛されていることを実感した。

その後、デンデとクリリンの所へと戻る。ピッコロがいつもの調子を取り戻したのを見届けるとクリリンはマロンと一緒に亀ハウスへと帰って行く。悟飯も日が暮れない内に帰らないと夕飯抜きになるとかならないとかで慌てて帰ろうとした瞬間、ピッコロに駆け寄る。

「今度は最後までして下さいね」

真っ正面から悟飯が笑顔で告げて弾む足取りで家へと帰って行った。

「最後までって、なんのことですか?」

デンデがきょとんとした表情でピッコロを見ると今まで目にしたことの無い赤い顔をしたピッコロが恐ろしいくらい満足で幸せに溢れた笑みを零していた。

-END-

ラブラブP飯を最大限に引き出してみたつもりです(笑)お互いに会いたい想いは強かったんですね。その想い故にピッコロは悟飯を離したくない想いが深まったということなんです。悟飯もピッコロに会えなかった日々の欲求で少し大胆発言をさせて見ました(爆)ここまで駄文をお読み頂きありがとうございました。

主催:チロル


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