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それは素敵な言葉です。

どうもこんにちは。
樋口神流です。
いきなりですが、私には今、好きな人が居ます。

「白石先輩って格好いいよね」

「確かにー!でも私は千歳先輩がいいなあ」

「えー忍足先輩だよ!」

「財前君も格好いいよねー」

「あ、でもさ財前君ってオタクらしいよ?」

「うっわー勿体無い!」

「イケメンなのにねー」

そして、私の好きな人はオタクらしいのです。
もう分かりましたでしょうか?
私が好きな人は財前君なのです。

「やっぱりさーイケメンでもオタクは嫌だよねー」

「それに、オタクって気持ち悪いよね」

「ねー」

と、さっきから聞こえる声は私の近くの席の女子たちの声なのですが…聞いててイライラしてきました。
オタクだろうがなんだろうが、それは個人の自由ですし、そんなに否定しなくてもいいじゃないですか。
オタクがキモイって言うのも偏見だと思います。

この内容が財前君に聞こえていないことを祈ります。
見ると、近くの席で悠々と音楽を聴いていました。
良かった。
きっと大丈夫でしょう。
それにしても、音楽を聴いている財前君も素敵です。





「やっほー神流」

「あ、謙也君。どうかしたんですか?」

放課後、声をかけてきたのは幼馴染の謙也君でした。

「財前とはうまくいっとんの?」

「ア、アハハ…」

唐突に聞かれたことに思わず苦笑してしまいました。
謙也君もうまくいってないんやな、と苦笑い。
私が財前君を好きなことは謙也君しか知りません。
謙也君によると、財前君は噂通りオタクらしいです。
初音ミクが好きらしく、よく話をしてくるそうです。
私も気になったので調べたらとっても可愛い女の子のイラストが載っていました。

「もういっそ告ってまえ!」

「む、むむむ無理です!」

周りの噂だと、財前君は二次専?というものらしく、きっと望みはないの思うのです。
だったら、傷つかないように眺めているだけの方が幸せです。

「ほんっま、神流ヘタレやな」

「謙也君に言われたくないです」

「おまっ!誰がヘタレやねん!」

ムカついたので、仕返しにそう言うと頭をグリグリされました。
…痛い。

「…謙也さん何の用ですか…って、樋口さん?」

「お、財前やん。じゃ、俺はもう行くわ!」

そう言うと、謙也君は私の軽く頭を叩いて、財前君の方に行きました。
何か耳打ちした後、謙也君は教室を出て行きました。
財前君と二人っきり…顔が赤くなってないか心配です。

「あ、あの…財前君はどうして教室に?」

「あ、いや…別に」

勇気を振り絞って質問しても、簡単に返されるだけで直ぐに黙ってしまいました。
気まずいです。
もう帰ろうかと思って、足を踏み出すと呼び止められました。

「なあ、樋口さん」

「ど、どうしたの?財前君」

いきなり話しかけれられて嬉しかったけどすごくびっくりしました。
声が上擦って無かったでしょうか。

「俺、樋口さんのこと好きやねん。けど、俺オタクやし…やっぱり、樋口さんもキモイ思うやんな?やから、気持ちだけ、言っておきたかってん。嫌な思いさせてたらすまん…じゃ」

それだけ言うと、財前君は教室を出て行こうとしました。
恥ずかしいなんて忘れて、思わず抱きつきました。

「全然、気持ち悪いなんて思わないです!私も、財前君のことが好きです」

そう言うと、財前君は一瞬目を見開いて、それからいつもの無表情とは一変、優しく微笑みました。

「樋口さん、おおきに。…嬉しいわ。なあ、俺の初音ミクになってくれへん?」

「…喜んで!」

一瞬、財前君の言葉の意味が分かりませんでしたが、理解して嬉しくなりました。
謙也君が言っていましたが、財前君は初音ミク最愛だそうです。
それはつまり…ね?

「財前君、大好きです」

「俺も、めっちゃ好き」

私は今、とても幸せです!



それは素敵な言葉です。

貴方がくれた、遠回しな最愛。




星琥珀さんとの相互記念で書かせていただきたオタ財前。
あまりオタ要素が生かされてない気がします…。
琥珀さん、良かったら貰ってやってください!
書き直し等も受け付けますのでお気軽に。



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