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君の近くは心地いい

完璧でいるというのを決めたのは確かに自分自身や。
それでも完璧であり続けるっちゅうんは、常に完璧である事を求められるんは、重く自分にのしかかる。
そんな時、無理しないでと言ってくれる君の傍は、誰の傍より居心地が良い。



「しらいしくん」

「ん?どないしたん」

ベッドの上でコロンと寝っ転がる神流は上目使いに俺のことを呼ぶ。
さっきまで寝ていたのか、眼がとろんとしていて、呂律も回っていない。
いつにもまして可愛らしい。

「白石君」

大分覚醒してきたのか、今度ははっきりと俺を呼ぶ。
もう一度どうしたと問えば、手を伸ばして抱きついてきた。
そのままベッドから落ちてくる神流を抱きとめれば嬉しそうに笑う。

「白石君、好き」

「おん、俺も神流の事好きやで」

俺も笑って抱きしめると、胸板に頬をすり寄せてくる。
それが小動物っぽくて笑うと、少し驚いたように顔を上げた。

「…神流?」

訳が分からなくて名前を呼べば、神流は可愛らしく微笑んだ。

「笑顔、久しぶりに見た」

え、と聞き返せばぎゅっぎゅっと腕に力を入れてくる。

「最近ずっと険しい顔してたの、知ってる?」

そうだっただろうか。
少なくとも神流と一緒にいる時はそうでもないと思うのだが、どうやら彼女にとっては違うらしい。

「白石君が責任感が強いのは知ってるけど、もっと肩の力を抜いても良いと思うの。私は、どんな白石君も好きだよ」

好きと繰り返しながら抱きついてくる神流が愛おしい。
自然と笑顔が浮かぶのを見て、神流はまた、ニッコリと笑った。


だから手放せない


(ずうっと近くにおってや)



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