Short | ナノ

君と、



メールで呼ばれてきた裏山。
呼んだ張本人、千歳千里はその場にいなかった。

「…いないし」

白い猫を見つけたから来いと言われてきてみたは良いが、千歳がいなくては意味がない。
こっちは態々授業をさぼったというのに…。

「あ、神流来てくれたと?」

イライラしながら、それでも千歳を探そうと歩き始めてすぐに、奥から頭に葉がついた千歳が出てきた。
腕の中には確かに白い猫。

「アホ、一緒に探すんじゃなかったの?」

聞くと、千歳は少し困った顔をしながらも笑顔で言った。

「んー…それもよかばってん、早く神流に見せたかったと。神流、猫好きやろ?」

千歳はそう言うと、手に抱いていた猫を私に差し出した。
ニャー?と気の抜けるような声で鳴く。

「な?可愛かろ?」

「…うん」

猫を撫でるとゴロゴロと喉が鳴る。
すり寄ってくる猫が可愛くてしょうがない。
思わず顔が緩む。

「あは、神流可愛かー」

猫と戯れていると上から千歳の笑う声がする。
それと同時に体にかかる千歳の体重。

「重い!」

振り払うと、千歳は少しも傷ついた様子もなくゆるりと笑う。

「ごめんね?神流が可愛かったけん、思わず」

こてん、と首をかしげると猫に同意を求めるかの様にねー、と声を出した。
猫はそれに応えるかのように鳴く。
その様子が可愛くて、思わず声を上げて笑ってしまう。

「どげんしたと?」

千歳の動作一つ一つが可愛く見えて、なんかズルイ。

「知らない!」

答えるのが癪だったから、そっぽを向くとえー、なんて声が聞こえる。
それにまた、にやける顔を押さえているとポケットの中の携帯がメロディーを奏でる。

「?はい――」

『自分何処居るんや!其処に千歳も居るやろ!?自分ら後で覚えときい!』

――電話の相手は白石だったようで。
しかも二人してサボってたのがバレて、白石は相当切れているようだった。
千歳と思わず顔を見合わせる。

「逃げよっか」

「そやね」

携帯の電源を切って、千歳と一緒に裏山の奥に入って行く。
勿論、腕の中にいるのはさっきの猫。
白石に怒られるのは少し怖いけど、千歳と一緒に過ごした時間を考えるとそれも良いかな、なんて思う。
まあ、千歳には言わないけどね。


幸せな時間を過ごそう




片さんへの相互記念小説です!
リクエストいただいて大分経った上にこんな駄文で申し訳ない…。

ちなみに過去メルマガのその後、的な|ヽω・@)

片さんのみお持ち帰りOKです。
煮るなり焼くなりご自由に!



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