03.ヒチョルside
医師「家出人の捜索願いに、彼女に該当するデータはありませんでした…」



桜の木の下で発見してから、一週間が経った

少女は、入院翌日に目を覚ましたが、
未だに、記憶は戻っていない



ヒチョル「この子が、このまま身元が判らなかったら…?」


医師「児童養護施設に入る事になります。…ですが、彼女の場合は すぐに出る事になるかと思います。」


ヒチョル「…えっ?」


医師「彼女の推定年齢は 18〜20歳くらいなので、児童養護施設には、長く居られな」


ヒチョル「俺が!…俺達が引き取ります。」



俺は、思わず そう宣言していた








ギュ『ここが、桜の部屋だよ』



桜の木の下で出逢ったからと、俺達は少女を【桜】と名付けた



そして、俺達は【手話】を猛勉強した

耳の聞こえない桜と、会話がしたかったから…



桜の退院は、俺が身元引き受け人になって、諸々の手続きが終わるまで出来なくて、結局 1ヶ月もかかった

その間 メンバーやマネージャー、桜に今後 接する者全てが、手話を覚える時間になった



桜本人は、記憶が戻らず、耳が聞こえない状態に、少なからず不安を覚えていたようだが、
見舞いに行く俺らを心配させたくないのか、俺らの前では微塵も態度に表さなかった

そんな不安を紛らわせる為なのか、それとも元々 頭が良かったのか、
桜は、日常会話に困らない程度の手話を、10日程で覚えた

‐4‐


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