青空の下で | ナノ

辛かった、
怖かった、
寂しかった、
苦しかった、
だからサヨナラしようと思ったんです。






―第1話 輪廻転生―






覚悟を決めれば、簡単に出来ることだったらしい。
早起きして誰もいない時間に学校に来て、
屋上に上って靴を脱いで遺書を置いて飛び降りて。
気がつけば、私はもう幽霊とやらになっていた。

(頭、ぐちゃぐちゃだ)

落下の衝撃で無惨な姿になった自分自身の死体を、まるで他人事のように見ていた。
多分、これが幽体離脱とか言うんだろう。
ふと屋上を見上げてみる。よく、あんな高い場所から飛べたなぁ。
死ぬ寸前の感覚は残っている・・・まるで、プールの飛び込み台から落ちていくみたいに、わりとすんなり出来た。
死のうか生きようか迷っていたけど、あの瞬間死ぬ勇気が出たんだ。



誰も信じてくれなかった
誰も守ってくれなかった



だから、遺書には一杯書いた・・・弱い私の、せめてもの抵抗。
いじめた奴らの実名を、先生の名前も両親の名前も、恨んでるものみーんな書き連ねた。
でも、一枚だけじゃ心配だったから、何百枚もコピーして色んな教室にばらまいた。
そっと、死んだ自分の手首を見てみる・・・引き籠っている間に、何十回も切った痕。
これだけやったらテレビも取り上げてくれる、あいつらも叩かれる。



ざまぁみろ



ふわ・・・と、どんどん魂のか身体が浮いていく。
ああ、ようやく逝けるんだ、天国へ・・・私が夢見た幸せへ・・・・・。
大好きな本が見れなくなるのは残念だけれど。
目を閉じれば、ずっと眠ったままでいられる・・・・・暇を弄ばなくても大丈夫。
私は、救われたんだ。

(バイバイ、下界)

もう、いいんだ。
苦しくないし辛くないし悩まなくていいし。
楽になれるんだ。

・・・もしも生まれ変われるなら・・・?

ううん、もう、命はいらない。
このままでいい、ずっとこのままで。
でも・・・・もしも、本当に叶うんなら・・・・・・・あの世界に・・・・。
・・・いや、やっぱりいいや・・・・。



(永遠にお休みなさい)



眩しいほどに青い空へ吸い込まれていった。




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