青空の下で | ナノ



「じゃね、イルカ先生!今日もラーメンおいしかったってば!」
「明日はきちんと授業受けろよナルト」
「・・・・うぇ〜・・・考えとくってば」
「こらっ!」

帰り道。
ナルトの家が近くなってきたところで、ナルトとさようならをする。
イルカ先生の言葉に、嫌だオーラ全開なのがなんとも・・。

「じゃ、ロクもさよならだってば」
「うん・・・また明日・・・遊ぼう」
「おう!」

そう言って、ナルトはたたっと駆けて行った。

「・・・・しかし、お前達がなぁ・・・」
「?」

その後ろ姿を見ながら、イルカ先生が言う。

「ありがとうな、ロク。ナルトと友達になってくれて」
「え・・・」
「・・・あいつ、俺の前じゃ平気そうな顔してたけど・・・本当は友達がいなくて寂しかったの丸分かりでな。
俺だけじゃどうにもならなくてさ・・・最近は、少し嬉しそうだったから・・・それがお前のお陰だって分かって良かったよ」

そう語るイルカ先生の顔は、どこか寂しそうだった。
・・・・イルカ先生も、小さな頃からずっと一人だったんだ・・・・九尾の事件の、あの日から・・・。
ナルトの、悲しそうな姿に自分を重ねているのは私だけじゃなくて、イルカ先生も・・・。

「・・・・分かります・・・。私も・・・人の中に、入りにくいタイプなんで・・・、ナルトの気持ちもちょっとは・・・」
「そう、か」
「・・・イルカ先生は・・・ナルトのこと、好きですか・・・・?」

そう聞くと、先生は優しい笑みで頷いた。

「ああ。ま、どうしようもないイタズラ小僧だけどな・・・一生懸命なのは、見てて分かる」
「・・・・ですよね」

本当に、イルカ先生は分かってくれている・・・ナルトのことを。
ナルトの・・・初めての理解者。
いつだってこの人は、ナルトの側でナルトを励ましているんだ。
ナルトがアカデミーにいる時だって、額宛てを貰った時だって、任務終わりも、修行から帰って来た時も、
・・・・自来也様が亡くなった時も・・・・。
いつも、ナルトの側にいた。助けてくれていた。

「先生」

私も、少しはナルトの支えになれるのかな。

「・・・・私、ナルトとは・・・・ずーっと仲良くやらせてもらうんで・・・」
「ああ・・・・ありがとう。ただし!それとイタズラは別物だからな」
「・・・・えー」

うん、、きっちりとそこには釘を刺されました。
教師の鑑です、あなた様は。

「・・・・今日は、ありがとうございました・・・」

奈良家が近付いてきたところで、私もイルカ先生にお礼を言った。

「おぅ、明日はサボるなよ」
「・・・・・寝て、立たされるとこまでに・・・留めておきます・・」
「・・始めの方からきちんとしてくれよ・・・」

すみません。
それは至極困難なものと思われます・・・。

「・・・あっ!そうだ、ロク・・・お前、明日ナルトに会ったら言っといてくれないか?」
「?伝言・・・・ですか」
「ああ・・・"お前の言ってた実戦授業、そろそろやり始めるから楽しみにしとけ"・・・って、さ」

ぱちぱちと目を瞬かせる私に、
少し照れながら頬をかくイルカ先生。
くすっ、と笑ってしまった・・・。

「・・・・先生、だから・・・・私もナルトも先生のこと大好きです」
「・・・あー・・・」
「きちんと、考えててくれたんですね・・・・すごい、優しい」
「やめんか恥ずかしい・・・褒め殺すな俺を・・・」
「いよっ、教師の鑑、理想像」
「こらっ!やめろっての!!」

そのトマトみたいな顔色で言われても説得力無しです。
あー、イルカ先生可愛いなぁ。
年下(精神年齢的な意味で)弄ぶって、こういうことなのかな・・・。
まぁとりあえずもう一言。

「さようなら。先生のお嫁さんになる人は、とても幸せだと思いまーすー・・・」

走りながら言った一言で、先生の顔は更に赤くなって。

「おっ・・・・大人をからかうんじゃなーいっ!!!」

先生の声をBGMに、私は家路を走って行った・・・。









『あのね・・・ナルト。イルカ先生はね、きちんと考えてくれてたよ・・・・』




明日言う台詞を用意して、ナルトが喜んでいる姿を想像して、
その日の夜は、朝が待ち遠しかった。






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