青空の下で | ナノ

「しかし、あのうちはがねぇ・・」

上忍班長だからこそ見れる機密文書。
策士と謳われる奈良シカクその人は悩んでいた。

(同級生でも一目置いてたのによお)

フガクは、ミナトや自分達と同じ世代で育った・・無論、アカデミー時にも同じ空間で。
直接的な関わりは無かったものの、ミナトと1、2を争う優秀ぶりだったらしいから。
・・そんなすごい奴が、呆気なく逝ってしまった・・実感なんて、死体を確認するまで無きに等しい状態で。
しかも、フガクの命をとったのは実の息子、うちはイタチだと言うのだから。

(・・・確か、イタチは暗部所属、だったな・・)

どうにも、この事件不可思議な点が多すぎる。
一族を皆殺しにしておいて、弟のうちはサスケだけは生き残らせる。
あの騒ぎが起きてから既に一ヶ月、
死体の片付けやこの件に関する書類整理は突然の事態にも関わらず、驚く程スムーズに終わった。
いや、確かに混乱はあったのだが・・・・暗部を走らせてまで来た情報なのだから上も相当慌てていたのだろう。
けれど・・あまりに上は静かすぎる・・うちはは優秀な一族、その一族丸ごとが壊滅させられた上、里抜けをした主犯なのだから、
通常なら例え子供とは言え、うちはサスケを召還し尋問することが普通だ。
彼は、イタチに最も近しい存在だったのだから。
だがその様子を見せることもなく・・まるで、忘れろと命令しているかのような処理具合。

(・・・・何か裏がありそうだな)

す、と書類を元の位置に戻し鍵をかける。
ここら一帯のうちは事件に関連する書類は頭に叩き込んだ。
不審な点は、風化する前に自分の中にとっておく。
ただでさえでかい事件だ、それに怪しい点が見つかったのならなおさら覚えている者が存在しなくてはならない。

うちはの内部で何があった?

(まずはそっからだなァ・・)

鋭かった目線がふわ、とやわらかくなる。
すたすたとそこを出て行く時にはもう、彼の策士の顔は隠されていた。















一つ一つの日常を紡ぐ度、非日常への恐怖は大きくなる。
サスケの里抜け、イタチの死。
いずれ来るはずだった運命、それを私は変えることは出来ているだろうか。
ただひたすらに、必死に、前に進めばきっと、何かが掴めると信じてもいいのだろうか。

異端者によってひしゃげられた運命は善へ転ぶか悪へ転ぶか、その先はまだ誰も知らない・・・。

- ナノ -