「あ・・・あった!!」

柳宿の言ったと通り・・・林の奥には大きな泉があった。
流石本の中、何でもアリだ・・・・実に都合が良い。

(これ以上・・・心配かけさすわけにはいかねぇしな・・・)

ばさ・・・っ、と服を脱いで無造作に放る。

(・・・あれ・・・・?)

ぐるりと辺りを見回してみる。
・・・・気のせいかな?
この泉・・・・どっかで見たような気が・・・。



『気がついた?』



泉・・・・・。
そうだ、あの人と出会ったのも・・・こんな泉のほとりで・・・。



「・・・・・誰・・・・?」



「・・・!?」

ぱしゃ、という水音と共に聞こえてきた声。

(先客!?)

やべぇ、今俺裸だよどうしよう・・・!?
慌てて布と服で身体を隠す。
その時。



「「あ」」



泉に入っていた人物がこちらにやって来て・・・目が、あった・・・・・。

「あ・・・・あ、んたは・・・・・」

何と言うことだろう・・・。
先客、というのは・・。

「君は・・・・・あの時の・・・あっ、そうだ!紅蓮君だ!久しぶり、元気にしてる?」
「わっ、ちょっ・・・!!!たっ・・・頼むから挨拶の前に隠せっ!!隠してくれ何もかもっ!!」

じゃば・・と水をはじいて泉の中で立ち上がった女性に布を放り投げた。

先客は、
・・・・・・自分を助けてくれた、あの女性だった・・・・・。

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