「・・・そういえばさ・・」

巻物から顔を離して、エビゾウ爺に聞いた。

「チヨばあは、どんなにんじゅつをつかうじゃん?」

前見せてもらった、エビゾウ爺が主に使う術は医療忍術というものだった。
俺の目の前で、瀕死だった鳥にさっと触れるだけでその怪我を治したのだ。
まるで魔法のようで、すげえすげえと何回感動したか。
しかし、チヨ婆の忍術はよく知らない・・・好奇心というやつだ。

「姉ちゃんかいの。姉ちゃんはまた、五つの性質とは違う術で戦っとる」
「へー!すごいんだな!」
「そうじゃの・・・わしも、似たような術は使えるが・・・」
「えっ、マジ!みせてみせて!」

俺のはしゃぐ言葉にまんざらでもない表情をして、エビゾウ爺はふと巻物が乗った机を見た。

「例えば・・・こう、したりな」

ふわり、
俺の目の前で筆と巻物が空中に浮かんだのだ。
驚くのも当たり前、俺はうわあ、と言いながらその様子を見ていた。

「すっげー!なにこれどういうしくみ!?」
「チャクラを細く細く、糸のようにして指先から放出するんじゃ。それで、動かしたい対象にくっつけて動かす」

ほれ、と指差された宙を目を凝らしてみてみると、確かに青い糸のようなものが筆と巻物の端っこにくっついている。
これが、チャクラ・・・何か綺麗だなあ。

「それ、おれもやりてえ!」
「だからまだチャクラの練り方を教えてないじゃろ・・・本格的な実戦はお前にはまだ早い」
「ちぇー」

あー、俺だって急いでんのになぁ・・・。
残念そうに視線をまた巻物に戻す、ふと視界の端に棚の上に載った木彫りの人形が目に入った。
す、とエビゾウ爺の見様見真似で手を伸ばしてみた・・・伸ばすだけ。

(なーんて、これだけでうまくいったら・・・)

ごとっ

(え)

ただ、なんとなく手を伸ばしていただけなのに。
木彫りの人形は何かに引っ張られるようにして床に落ちた。
人形には青い、エビゾウ爺とは比べ物にならない程太いチャクラの糸・・・それは、俺自身の指先に繋がっていた・・・。

「ねーえちゃーん!!」

エビゾウ爺がチヨ婆をすぐに呼び出し・・・俺はただ呆然としていた。


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