文字が読めない分必死に聴覚をフルに使ってエビゾウ爺の言葉を逃さないようにした。
・・・忍者ってこんなに複雑な世界なんだ・・と聞き終わってから思った。

ここは風の国、って国で(やはり日本じゃなかった)
俺達はその国の中にある隠れ里ってところに住んでるらしい。
なんかごちゃごちゃしてるけど、上忍、中忍、下忍とか忍者にもランクがあって、
なにもできない一般人も街の中にはいるようだ。
伊賀と甲賀くらいしか知識が無かった俺には、忍者にもランクがつけられるなんて知らなかった。
説明された中で一番驚いたのは、なんと言ってもこの国の長の名前。

「お前の父ちゃんはな、簡単に言うとこの国で一番偉い、国の長なんじゃ」

エビゾウ爺のこの言葉を聞いた時固まった。
風の国の長は風影と言われてるみたいだ、
・・偉そう偉そうとは思っていたけど、まさかそんなに偉い人だとは・・。
どうやら相当でかい厄介に巻き込まれたみたいだ・・これで性別がバレでもしたら確実に追放とかされるんじゃねえの俺・・!

「じゃ、つぎはほかになにおしえてくれんの?」
「まあそう慌てるでない。幾ら成長が早いと言ってもまだお前は子供じゃ。
ゆっくり覚えていけばいい」
「ちぇー」

ふと窓の外を見ると、既に空は暗くなっていた。
晩飯にでもしようかの、といそいそと部屋を先に出ていくエビゾウ爺。



『ジンチュウリキってなんなんだ?』



・・唯一答えてくれなかった質問を思い出し、少しだけ不安になった。







母さんが次の子供を妊娠したと知ったのはそこから数日経った日のことだ。


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