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「あんたどうしてラビ先輩としょっちゅう一緒に投稿してくんの?」
ふざけてるわ、と言って、中庭で同学年の女子に囲まれた。 放課後で、今日もラビと一緒に帰る約束をしていたから、早く校門に行きたいのに。
これは後々判明したのだが、話題になっていた有名人とはラビのことだったのだ。 イケメン人気作家として、テレビなどにもよく出ているらしい。だから活字を読まない者でも彼を知っているのだとか。
「どうしてって…」 「あんたみたいな陰気臭い奴、先輩の隣に立つ資格ないじゃない。わからないの?」
女生徒のひとりが、忌まわしそうに眉をひそめてそう言ってきたが、アレンは怯んでしまって言葉が出ない。
無視するなと言って、激昂した女生徒の一人が手を振り上げた。 殴られると思い、びくりとして肩をすくめて思わず目を瞑った。 しかし一向に手は振り下ろされず、恐る恐る目を開けると、女生徒の高々と振り上げられた手を、大きな筋張った手が掴んで制止していた。
「ら、ラビ先輩…!」
女生徒たちは蜘蛛の子を散らすかのように退散して行った。 手首を掴まれた女子は、一瞬顔を赤らめたが、すぐにその顔は歪んでいった。
「い、いたい!痛い…!」 「アレンに何するつもり?」 「ご、ごめ、なさ…っ」 「…今度アレンをいじめたら…」
ラビは女生徒の耳元に口を近付け、ボソボソと何かを囁いた。 すると女生徒は一気に青ざめ、手を解放されると同時に一目散に逃げて行った。
「あ…ありがとう…ございます…」 「いつもあんなことされてんの?」 「まあ…」 「これからは俺に言いなよ。守ってやるから」
驚いてラビを見上げると、至極優しく微笑んでいて。アレンは嬉しさと心強さで胸が踊った。
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