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真面目に生きてきたつもりだった。

夜中に街中をふらつくこともしなかったし、公共の場では大声をあげないし、店ではちゃんと金を払って品物を買った。人が何かをしてくれれば「ありがとう」と礼を言って、人に迷惑をかけたら「すみません」と謝った。ごく普通の生活をしてきたつもりだった。けれども、人は俺を忌み嫌った。











act.1
















「何人目だっけ」
「三人目だよ。一人目がデイジー、二人目はドナ、そして三人目がゴドウィンさね」

中世の英国の、小さな町を騒がせていたのは度重なる殺人事件だった。週に一度、誰かが殺されるが、三人の被害者の共通点は孤児院出身ということと殺害方法で、いずれも絞殺であった。警察も捜査はしているが犯人に繋がる痕跡がなく、それは難航を極めていた。

「怖いね」
「うん」

その白い恋人ーーアレンは窓の外をぼんやりと眺めながら、窓枠に肘を乗せて頬杖をついた。被害者と仲が良かったというほどでもなかったが、俺とアレンが元いた孤児院での同期だったからか、少し切なげな眼差しで窓の外の警察の姿を見つめている。

「孤児院にいた人がターゲットだとしたら、僕やラビも狙われる可能性があるよね」
「そうだね。犯人が捕まるまでは、あまり外出しないようにしよう」
「うん」
「明るいうちに食材を買い出しにいってくるよ」

そういってメモ用紙と万年筆を手渡すと、アレンは窓枠でガリガリと買い物リストを書き上げてそれを俺によこした。材料からして、うなぎのゼリー寄せとミートパイが出てきそうだ。なんてひどい組み合わせだと思ったけど、文句は言わない。なんたって俺は料理はからきしだから、文句を言えばフォークとナイフを添えたミネラルウォーターと塩を突き出されてしまう(生きるのに必要最低限あればなんとかなる水と塩を、ディナーとしておあがりなさいという意地悪だ)



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