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「僕、アレン・ウォーカーと申します。改めて、はじめまして」 「俺はラビ。よろしくさ」
招かれ入った家の中はやけに殺風景だった。とにかく物が少ない。視界に入る限りでは、テーブルと、椅子と、がらんとした食器棚だけしかない。食器棚にも、ティーカップがふたつと、ポットがひとつだけ。
「何もない家だね」 「紅茶がありますよ。それと、お菓子」
アレンが戸棚を開けると、小さな籠にマカロンがいくつか。
「僕の手作りです。ふふ」 「うまそうさね」 「食べてくださいね」
一口食べれば、優しい甘みが口内に広がって。美味いと言うと、アレンはそれは嬉しそうに笑った。
「久しぶりに人とお話しました。自分の声を聞いたのすら、久しぶり」 「アレンはいつからここに住んでるんさ?」 「僕?いつからだろう…」
アレンはぼんやりと紅茶を見つめている。
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