広く感じる部屋で一人、俺は空を見上げていた。



【…逢いたい。】



あいつに出会って俺の人生は変わった、と言っても過言じゃない。



話したくない自分の過去や、まだ命の大切さを分かっていなかったあの時にしてしまった間違いも、あいつは全て受け止めてくれて。


あいつの持つ柔らかな微笑みが、俺をいつも暗い闇の底から救いだしてくれていた。



すごく嬉しかった。



泣きそうになるくらい。



でも。



あの時の俺は他人からの優しさに慣れていなくて、嬉しくても素直になれずに自分の気持ちと裏返しの言葉をわざと言って、あいつを傷つけていた。



それに付き合い始めた頃から、俺は自分のいる世界はあいつには全然似合わないと思っていたから、わざと傷つけてあいつを危険な目に遭わせるまいと必死だった。




そして、俺は自分からあいつに別れを告げた。




これでよかったんだ。



これであいつを危険な目に遭わせなくていいんだ。



これで……あいつは幸せになれるんだ。



これで……。



これで……。






本当に、これで……?






そんな思いが頭をよぎった途端、孤独が俺を襲った。



孤独なんてのは慣れっこなはず。




なのに、今、どうしようもないくらいに、怖いんだ。



ハル……。



そう言いかけた口をつぐんだ。



そうだ、ここにあいつは、いないんだった。



あいつの事を思い出して孤独を耐えようとしても、孤独はさらに増すばかり。



あいつを想う度に、俺はひとりぼっちになるんだ。



耐えられなくなって、呟いた。




「……ハル……」




その声は、とても弱々しくて。



まるで、母親からの愛を求める幼い子供のようで。



そして静かに両の目から雫が伝い、夜空が滲んでいった。






俺は、我が儘だ。



お前を突き放しておいて、今こんなにお前を求めてるんだ。



お前は、こんな俺を許してくれるだろうか?






ハル。



俺は今、どうしようもないくらいに……









「……逢いたい」

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どうも皆さま、またもや私でございます←


今回は、
♪ただ…逢いたくて/EXILE
を題材に書いてみました。
これが私の本業(なはず)


お題小説とは雰囲気がガラリと変わってますが、楽しんで頂けたら何よりです。

ふぁー

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文字を目で追うたび、獄寺の感情が勢いよく心に染み込んできました。
弱さや儚さが力強くノックしてくるような文章に引き込まれてしまいます。

こういった雰囲気もいいですよね。
あんなに特異な過去のある獄寺だから、ハルの笑顔の持つ意味は大きいんだと思います。
この後どうにか幸せになってくれますように…!

ふぁー様、お題作品と合わせて当企画のため2作もの執筆、本当にありがとうございました!


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