「てめぇ、何だそれは」
「お菓子」

遊馬に負けた腹いせに連れ去ってきた○○。こいつは当たり前のこと聞くな、とでも言いたげな顔で俺を見る。そう言うことを聞きてぇんじゃねぇんだよ。ドン・サウザンドに会いに行っている間、逃げられないようにロープで縛っておいたうえに、口まで塞いだんだぞ。なのにだ!なんでてめぇは優雅に菓子食ってんだよ。ロープを解くような力は無さそうだし、食いもんを出すような能力もあるわけがない。第三者の仕業、つーかドルベかミザエルのどちらかがやった筈だ。とことん俺のやることには反対らしいな。
いっそこいつに良からぬことをしてやろうかァ?、と苛つく気持ちの捌け口にしようかと思ったが、無垢な瞳が俺を見ていることに気が付いた。童顔のくせに妙に色気づいてる○○に、やはり良からぬことをしようと決意した。

「おい、」
「ベクター、だっけ?」
「あぁ?俺ベクター!何だよ、止めろっつっても止めねぇからな、ヒャハッ!」
「トイレ」
「…なん、だと」

顔を赤くして、小刻みに震える○○に色っぽさを感じていた俺が恥ずかしい。萎えた気分を奮い立たせ、あっちだ、と指を差すと嬉しそうな顔で探し始めた○○だが、次第に疑問符を並べ、首を傾げた。

「どこ?」
「そこら辺の岩陰ですりゃあ良いだブフッ」

言い終わらないうちに、さっきまで○○が食ってた菓子の袋を顔面に投げられた。バリアンに排泄行為はねぇんだよ!陰でしろと言った俺の優しさに感謝するなら兎も角、ゴミを投げられる謂われはねぇ!あぁ、面倒くせぇ奴連れて来ちまったぜ。

「ドルベ、便所ってどうやって作るんだ」
「…彼女を連れてきたのは君か」

成る程、ロープ解いたのお前だな。

お菓子をあげたのはミザエルさんです。
130518

back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -