バレバレなんだよ


「遊馬君、私ね…」

夕日が差し込み赤く染まる教室で、二つの影が動いていた。一つは遊馬、もう一つは○○。昼間、コソコソと約束をしているのを聞いていたおかげで、この場面に出会すことができた。アストラルも独特な雰囲気を察してか、見当たらない。思いを告げるには絶好のチャンスというわけだ。だがな、俺が黙ってそれを見ているとでも思うかァ?

「遊馬君!○○さん!こんな所に居たんですか?良かれと思って探しちゃいましたよ」
「し、真月!?」
「真月君!?」

顔を真っ赤にしながら慌てる二人の間に入り、早く帰りましょう!と手を引く。転びそうになりながらも笑顔で話しかけてくる遊馬に、いつものように笑いかける。それと同時に、○○を握っている方の手には、骨が軋む程の力を加えていた。横目でちらりと見れば、眉を寄せ、額には汗をかき、苦痛の表情を浮かべている○○が視界に入る。盛大に笑いそうになるのを、遊馬に話しかけることで何とか耐えることが出来た。

「ベクター!何故邪魔をした!」
「あぁ?」

遊馬と別れてから俺の腕を引っ張り、路地裏に連れ込む○○。夕日もすっかり落ち、月明かりも届かないこの場所は暗闇に満ちていた。胸倉を掴まれながら壁に押し付けられるが、怒鳴る○○の表情はよく見えなかった。あーあ、この顔が見たかったのによ。

「もう少しで九十九遊馬に…」
「告白出来たってかァ?」
「そうだ!何故作戦の邪魔をした!」
「お前、遊馬にマジで惚れてるだろ?」
「っ!」
「ンヒャハハハッ!図星かよ!」

動揺した○○は、胸倉を掴んでいた手を緩めた。その一瞬の隙を狙い、今度は俺が○○を壁に押し付ける。

「うっ…!」
「敵に惚れるとか、どうしようもねぇ淫乱女だなァ!アッヒヒッヒャヒャ!」
「貴様っ!」

殴りかかろうとした腕を寸での所で掴み、人間の女では抵抗出来ないであろう力で押さえつける。悔しそうな声をあげるこいつが何故か可愛く見えてきて、九十九遊馬に愛を囁こうとした憎い唇に噛みついた。

130526

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