あげる、あげるから!


「これもらうぞ」
「あ、ちょっと!」

私の玉子焼きがっ!
彼はいつも私のモノを欲しがった。お気に入りだった髪留めも、髪が邪魔だからという理由で奪われ(結局壊されて返ってきた)、好きなアーティストのアルバムも、暇潰しになるからという理由で奪われ(今度は全く違うCDで返ってきた)、アリトから貰ったカードなんて、弱いから要らないだろうという理由で破り捨てられた。下着をよこせなどという無茶なお願いをされたこともある。何故、彼が私のモノに執着するのかは分からないが、正直迷惑極まりない。
先程も、朝早くに作った玉子焼きを盗られてしまった。この横暴な行為に、そろそろキレても良いだろうか?

「○○。何食ってんだ?」
「飴。……は?」
「ヒヒャッ、よこせ」
「ま、まだ有るから!」
「それが良いんだよ。バーカ」

馬鹿はお前だ!ベクター!
腕をがっちり掴まれ、彼の顔が近づいてくるのを目を閉じずに見つめる。
ちゅっ

飴とファーストキスは彼に奪われてしまった。

130522

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