密かな集合場所


長い一週間が終わり、明日は休日。良かれと思ってまた近道を探しておこう、九十九遊馬の悲惨な姿が目に浮かび、頬が緩む。
だが、最上階の自分の部屋を見た瞬間、眉間に皺が寄った。いつもの外観と、何かが違うのだ。疑問を持ったまま歩を進めると、その正体に気が付いた。

「電気、付いてやがる」

確かに消した。つか、朝電気なんて付けてねぇ。じゃあ何故付いてるんだ。嫌な予感が身体中を支配し、エレベーターを使うのも忘れて、階段を一気に駆け上がる。息が乱れたまま扉を開ければ、予想通りの奴等と目があった。

「おかえり、ベクター」
「邪魔してるぜぇ」
「○○、アリト…何やってんだよ」

台所でなにやら作業をしている二人を睨むが、完全に自分たちの世界に入っており、俺のことなんて見ちゃいねぇ。怒りに身体を震わせていると、閉めたはずの扉が勝手に開いたではないか。驚いて振り向くと、ギラグが両手いっぱいに食料を持って立っていた。

「おう、ベクター。帰ったか」
「ギラグ…テメェもかっ!」

怒鳴り散らすと、まぁまぁ落ち着け、とリビングに誘導される。そのタイミングを見計らってか、○○が重そうな鍋を机の上に準備し始めた。ギラグとアリトは買ってきた食材を適当に切って、ひたすら鍋にぶち込んでいる。

「何だァ?」
「今日はベクターの家でお鍋パーティーです!」
「おい、聞いてねぇぞ」
「言うの忘れてたぜ、わりぃな!」
「○○。もう肉入れるぞ」
「何なんだ、お前等」

知らぬ間に置かれていたソファーに寄りかかりながら、騒がしい馬鹿共を眺める。旨そうな匂いに腹が鳴ると、○○が笑いながら皿を渡してきた。ンヒャヒャ!新婚みたいで良いじゃねぇか、と思ったが、余計なのが二人居たのを忘れていた。盛大に舌打ちをすると、玄関を開ける音とリビングに向かってくる足音が聞こえてきた。

「む、もう始まっていたか」
「○○、タキオンの分も残しておいてくれ」
「お前等もかよ」

130521

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