気付けば相合い傘


強く降る雨が道路を濡らし、水溜まりを作る。そこを何の躊躇もなく走り抜けたら、跳ね返ってきた水しぶきが足にかかった。舌打ちをし、雨を防げそうな場所を探す。
九十九遊馬と別れてから天気が悪くなってきた。雨に降られたことにも腹が立つが、俺一人だけ濡れていることの方が何倍も苛つく。
髪が肌に引っ付いて邪魔くせぇし、服も水分を吸っていつもよりも重い。さっきから走っているせいで、スピードが下がってくる。

「はぁ、はぁ、…あ?」

傘を差して前を歩いている女に見覚えがある。もう人違いでもいい。この状況を打破出来んなら。

「○○さん!僕も入れて下さい!」
「ベクター!?」

ビンゴォ!やっぱり○○だったぜ!
後ろからいきなり抱きつかれ、すげぇ顔で驚いている○○を見て、ついいつもの調子で笑ってしまった。

「ヒヒャ!イヒッ、クハハッ!その顔いいねェ!すげぇイカしてるぜ!」
「うっさい!それより近付かないでよ、私も濡れるじゃない!」
「もう遅いですよ。ほら、ピンクの下着が透けてますよ?」

わざと腕に纏わりついて、俺に付いていた水滴を○○につける。すると、乾いた制服がどんどん水に侵食されていった。なんか、エロいな。

「やぁ!はーなーせー!」
「○○さん、このままじゃ風邪を引いてしまいます!よ、良かれと思って、一緒にお風呂に、ヒヒッ、入りまウヒャッ!…入ろうぜ?なァ?」
「変態か!」

涙を浮かべる○○も悪くねぇな。

130502

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