あなたが望むなら 02


 高杉の言葉の意味を理解したまた子は、目を見開く。

「私は何があっても晋助様を裏切るようなことは絶対しないッス!」

 そして、泣きそうな顔になりながらも高杉に主張した。もう治ったはずの古傷が何故か痛む。


「どうだかな……ククッ」



 ――また子は知っていた。
 高杉がこうやって鬼兵隊を復活させて活動しているのは、また子達や国のためではないことを。高杉の瞳の奥は、いつもあの人だけを映していることを。悲しみの深さで、感情を殺してきたことを。人を信じないで獣のように呻き回ることで、自分を保っていることを。


「晋助様が言うなら、私はこの命さえも惜しみません」


 それでも……、そんな人を愛してしまった自分が居るから。
 この想いは変わらない。
 出来ることなら、この人の全てを受け止めたい。
 たとえ万人が高杉を闇だと言っても、また子にとっては光なのだ。



「なら、もう俺に近付くな……と言ったらどうする?」

「!」


「返事もできねェか?」


 高杉に近付かない――それは、戦闘に一切参加するなと言われたのと同じようなもので。また子は高杉と共に、これからも戦いたい。

 でも――――


「…………晋助様が仰るなら、私は」



 ワタシハ――――




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