彼女はすごいヤキモチ焼きで俺が少しでも他の女の子と話しているとものすごい形相で近づいてきて無理やり女の子と俺を引き離す。そんな千代がかわいくてだいすきで俺はいつだって千代しか見ていない。だけど、それを言葉にしなかったのが駄目だったのか。俺と千代の愛はすれ違っていった。
「島崎さん私のこと…好きですか?」
「もちろん、スキだよ」
「…ふふ、私も島崎さんのこと殺したいほど好きです」
“殺したいほど好き”それはどういう意味なのか、どれほどの愛情なのか。前はもっと優しい表現で愛を呟いてくれた。もっと俺に触れてくれた。でも今は狂気に満ちた表情と言葉しかくれない。それが恐ろしくて、でもそれほど俺が好きなのかって思えば嬉しくなる。
多分、俺も狂ってきているんだ。
「千代触れていい?」
「はい、島崎さんが一生女の子と口をきかなければ」
「…それはちょっと無理、かな」
野球部には女子マネージャーがいる。毎日部活で顔を合わせるんだからとてもその願いは叶えられそうにない。正直にできないと言えば千代は拗ねてぷいっとそっぽを向く。その仕草が久々に愛しさを感じさせてくれた。昔の思い出の中の千代に似ている。それが嬉しくてつい頬が緩む俺だったが、今の千代は昔の千代とは違う。目の前の千代が口にした言葉に俺は絶句した。
「島崎さんが私だけのものにならないならいっそ死にたいです。あ、でももう一つ方法がありますねふふ。他の女の子を皆消せば島崎さんは私だけのモノになりますよね?」
ニコォと笑う彼女。それは人でありながら、人の心を持たない悪魔のようだった。
ヤンデレな彼女