俺は頑張り屋な千代が愛しくて愛しくて仕方ない。彼女は頑張り屋でいつも不安になるほどたくさんの仕事をしている。野球部のマネなんだからそれくらいは仕方が無いと皆言うが、俺は心配でたまらない。だからせめて休日、俺といるときぐらいはゆっくり体を休めてほしい。
「高瀬さん?」
「あ、ごめん。少し考え事してて」
千代が、ぼーっとしていた俺を心配顔で覗き込む。そんな表情も可愛いな、なんて思ったけどあえて言葉には出さずに微笑んで彼女を安心させる。すると千代は安心したようで俺に向かって微笑んだ。そして一つ小さなあくびをする。
「高瀬さんといるとすごく眠くなります」
「え?それ俺といるのがつまんないってこと?」
「違いますよ!高瀬さんといると安心するってことですよ?」
千代はものすごく焦ったような表情でもごもごと恥ずかしそうにそう言った。いつも男の気持ちをくすぐるような言葉を彼女は使う。本人は無意識に使っているんだろうけど。でも、甘ったるい言葉より彼女のまっすぐな言葉の方が俺の心には響く。
「高瀬さんってすごくいい匂いがします」
「そう?千代の方が甘くていい匂いがする」
俺が千代に今さっきよりさらに近づくと、甘い甘い、彼女の匂いがした。
頑張り屋な彼女