キスは契約違反です

▽SP手塚×お嬢様桜乃/手塚視点


契約をする際に、主人にはしつこいぐらい言われた言葉。「娘には手を出すな」
これだけは守れ、と釘を刺された。そんなこと言われなくても、俺はSPとして配属されたのだから、主人の娘に手を出そうだなんて考えもしなかった。けれどいざ自分が守るべき相手であるお嬢様に会ってみたら一瞬で心を奪われて、気づけば恋人という関係になっていた。まだ手は出していないから、契約違反にはなっていないとは思うが、いずれ契約違反となる行為はしてしまうはずだ。その場合はどうすればよいのか。
目の前でにこにこ笑っているお嬢様を前に少し考えてしまった。

「どうしました?国光さん」
「いえ、なんでもありません」
「そうですか。…でも最近少しお疲れのようですね。今日はもうお休みになられたらどうでしょうか?」

優しいお嬢様はSPである俺のことも心配をしてくれ、気を遣ってくれる。少し優しすぎるではないかお人よしすぎるんではないか、と逆に心配になってくるがこういうところがお嬢様の長所でもあると思っている。その優しさに甘えたらどんなに心地いいだろう。だが俺の立場はSP。そんな易々と休めるような仕事ではない上に、休めば仕事放棄と主人の目には映るだろう。お嬢様には申し訳ないがその提案を断らせてもらった。

「でも、無理はしないでくださいね?」

ふんわりと笑って、そして何故か頭を撫でられた。いい子いい子と子供のような扱いを受けて少し微妙な気持ちになる。そんな気持ちが表情に出ていたのかお嬢様は「ごめんなさい」と言って手をどかした。微妙な気持ちになるが、細くてきれいな手に撫でられるのは、悪くはない。お返しとばかりに撫で返してみれば、うれしそうな顔で見つめてきた。かわいらしいお嬢様に上目遣いされて、何も手を出さないなんて無理な話だ。
小さいお嬢様にキスするために少しかがんでみるが、唇は届かない。なら、

「お嬢様、少し失礼致します」
「え、っ?」

華奢なお嬢様の体を抱きあげそのままキス。初めてのキスだったのか息継ぎの仕方も分からないお嬢様は体をかちこちに硬くしていた。なんだかその姿も愛らしく、俺はもう一度そのやわらかな唇に口付けた。


キスは契約違反です

−−−−−−−−−−−−−−−
企画:WONDERLAND様提出
素敵な企画に参加させていただきありがとうございました!


BACKNEXT





×
- ナノ -