子ども扱いなんてしない
▽銀魂:沖田×神楽
「一生お前の傍離れねェから覚悟しとけよ。」ニヤリと笑って沖田が言ったその言葉。神楽は勝手に『喧嘩相手としてこれからも付きまとってやるからな』という意味に解釈して、「上等アル!」と沖田に返事をした。そのとき、沖田が今まで見たこともないような笑みを浮かべていたのを神楽は不思議に思っていた。しかしその笑みの意味、そして言葉の本当の意味を知ったのはすぐあとのことだ。
***神楽は目の前で思い出に浸っている沖田に思い切りとび蹴りを食らわせた。無防備だった沖田は見事に顔面でそれを受けてしまい、後ろに倒れる。顔面を押さえて沖田は起き上がり、神楽の両腕を拘束してニコリと笑う。
「何で蹴ったんですかィ?」
「騙されたこと思い出したらむしゃくしゃしてつい蹴ってしまったアル」
「騙したわけじゃないでさァ。勝手に、チャイナが、勘違いしただけ、の話じゃないですかィ」
わざわざ言葉を強調して沖田は喋る。それが余計神楽の気に障り、むっとした表情をしたあと、沖田を睨み付ける。だが身長的に神楽が沖田を見上げるような体勢であるため、何も怖くない。小さくて華奢な体、薄く染まる頬、パッチリとした瞳。全てが愛しく感じる。沖田はふっと小さく笑って、神楽の頭をポンポンと撫でると神楽は馬鹿にされたように感じたのか、ぶすっとした表情になった。
「…私、子どもじゃないアルヨ」
「そんなことわかってるでさァ」
「分かってないアル。だからこうして子ども扱いするネ…」
今度はしゅんとなって俯く神楽は、さきほどよりも小さく見える。もし耳がついていたら、ペロンと垂れていただろう。それはそれで可愛い、なんて思う沖田だがこのまま神楽の暗い表情を見ているのは辛い。沖田は少し考えた後、何か思いついたような表情を見せる。「神楽」と名前を呼び、神楽が顔を上げた瞬間その柔らかそうな唇に口づける。
「お、きたっ?」
「子どもにはこんなことしないぜィ」
「…ドSなんて嫌いアル」
子ども扱いなんてしない(もう子供だなんて思ってないから)
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