本当はふたりぼっち

▽銀魂:沖田×神楽


いつからそんな嘘が上手くなったのか。それは総悟本人にも分からなくて、ただその嘘の上手さに少し笑ってしまった。
嘘はつかない、なんて約束した覚えはない。だから嘘だって簡単につける。総悟は辛そうな表情をして言った。本当は、嘘なんてつきたくない本当のことを伝えたい。けれどできない。だから、嘘をつくしかなかった。

「なんで、そんな辛そうな顔してるアル…?」
「あー…俺にも分からないんでィ。ただ…チャイナの顔見たら胸が痛くなったんでさァ」
「私のせいかヨ」

神楽は苦笑いした後、優しく総悟の頭を撫でてそのまま抱きしめた。総悟は訳が分からず体が固まる。でも、神楽の優しくて甘い匂いや温かさが気持ちよくてしばらく大人しく抱きつかれていた。するとだんだん目から何か熱いものがこぼれてくる。自分でも驚いた。なぜ泣いているのか分からなかった。神楽は突然涙を流す総悟を見て最初は驚いたが、また優しく頭を撫で始める。

「…すまねィ。すぐ、泣き止むから。少しの間、傍にいて欲しいんでさァ」
「私のせいなら、泣き止むまでずっと傍にいるアル。だから、だから…」

泣き出した神楽を見て、今度は総悟が優しく抱きしめた。お互いに抱きしめ合い、好きなだけ涙を流した。きらきらと輝く涙は零れ落ちて、服にいくつもの染みを作った。もうどちらの涙かわからないほど水玉があちこちにできていく。とめどなく流れる涙だが、いつかは流れを止める。この水玉が消えたときには、きっといつもの二人に戻っている。

そのときは悲しみの表情ではなく、笑い合う二人がそこにいればいいと。


本当はふたりぼっち
(私とオマエはどこか似ている気がした)

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シリアスな関係なおっかぐもとてもせつなかわいくて好きです。


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