▽実渕視点

「実渕君、あったかーい」

なんて言って私に抱きついてくるリコちゃんは私を全く男だと認識してくれていない。一応付き合ってはいるけれど、リコちゃんの私への絡み方はまるで女の子同士でいるような感じで。それが少し、ううん、だいぶ悲しかったりする。
リコちゃんといる時間はとても楽しいけれど、たまには恋人らしい時間を過ごしたいという気持ちはもちろん私にだってあるわ。リコちゃんはそう思ってくれていないのかしら。私だって男なのよ?

「リコちゃん、ちょっとごめんなさいね」

そう言って、私の胸に顔をうずめているリコちゃんを抱き上げると当然のようにリコちゃんは驚いて私の顔を不思議そうに見つめてきた。口が半開きになっているところが少し間抜けで何だか可愛らしいと思う。そんなリコちゃんを安心させるように額に優しく触れるだけのキスをすれば、くすぐったそうにクスクスと笑って恥ずかしそうに額を抑えた。ああ、本当に可愛らしい。
私は抱き上げたまま近くのソファまで移動してそこにゆっくりとリコちゃんを下ろすと優しく押し倒した。戸惑いと恥ずかしさが入り混じったような表情を浮かべるリコちゃんが私の真下にいる。
リコちゃんが、私だけを視界に映している、私だけを見つめているの。何て気分がいいのかしら。リコちゃんが私だけのリコちゃんだということを改めて感じることができて、こんなにも喜んでいる自分がいる。こんな自分、知らなかった。

「私、リコちゃんのこと大好きで仕方ないみたいなの。…どうしたらいいかしら?」

リコちゃんは真っ直ぐな瞳で私を見つめて、それから綺麗に笑ってこう言ったの。「それなら、ずっと私のこと離さないで下さい」って。恋する女の子がするふわふわした笑みを私だけに向けて。
そんなこと言われなくても離しはしないわ。私はリコちゃんを愛しているんだから。

(リコちゃんこそ、私から目を離さないでちょうだいね?)

嬉しくて、つい緩む頬。それを隠すために私はリコちゃんの唇に自分の唇を重ねて、そのまま深いキスに彼女と溺れていった。


離してなんかやるもんですか

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2013年《リコ生誕企画》
綺羅さんへ


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