▽雪男視点
いつまで僕を子ども扱いするんですか、あなたはいつだって僕を男としては見てくれなくて、それがどれほど僕の心を傷つけているか。あなたは考えたことがありますか？きっと、ないんでしょうね。僕の気持ちには気づいていない、だって男として見てくれたことがないんですから。いつになったら、僕を男として見てくれるんですか。
***「何してんだよ」
「この状況でも余裕ですね、シュラさんは」
「ああ、別にピンチってわけじゃないし？」
そう言ってあなたはちっとも僕のことを気にしてくれない。少しでも気にしてほしくて、押し倒してみたけれど、そんなのも無意味で。何のために押し倒したのか分からないじゃないか。押し倒したら少しは僕のことを見てくれるだろうか、なんて少し考えが甘かったようだ。ああ、馬鹿みたいだ。押し倒しても全く相手にされなくて、そのうえ余裕の笑みで見上げられている。押し倒されている側のはずなのに、完全に優位な立場にいるのはシュラさんだ。ああ、本当に僕は相手にされていない。
「で、これで終わりなわけ？ビビりメガネくん？」
からかうような口調でシュラさんは僕にそう言う。これから先も男として見てもらえずに過ごすくらいだったら、今この場でできることをしてみようと思った。最初で最後のチャンス、僕の思いをシュラさんに。どんな反応をされるかは全く見当がつきませんが、ビビりメガネと思われたままでいるのは耐えられませんから。
「…そんなわけないでしょう」
「ふーん…じゃあ何をするのかにゃー」
楽しそうに笑ってそう言ったシュラさんの唇に己の唇を重ねた。ゆっくりと唇を離してみればシュラさんは特に驚いた様子もなく、ただニヤリと笑っているだけ。顔を赤くしたのは僕の方だった。
「ふっふっふ、まだまだだねえ雪男」
「いま、名前で？」
「まあビビりじゃないことは証明されたから、これからはちゃんと名前で呼んでやるよ」
どこまでも上から目線でシュラさんは僕にそう言う。けど、それだけでも嬉しくて僕は情けなくもニヤついてしまった。
ハッピーでもエンドはいらない（まだ始まったばかりだから）
title by 確かに恋だった
BACK ｜ ▽ ｜ NEXT