▽執事とお嬢様パロ


執事の仕事はたくさんある。決まった時間に主人を起こしに行ったり、食事を運んだり、分刻みスケジュールだ。今日も朝から大忙しで、燐は息つく暇もなく、主人のしえみを起こしに部屋に向かっていた。大きな扉を開けて足を踏み入れた瞬間、甘い匂いが鼻をかすめる。キツイ香水のような匂いではなく、仄かに香る優しい匂い。その匂いに思わず頬が緩む燐だが、すぐに緩んだ頬を叩き、顔を引き締める。

「しえみお嬢様、起きる時間だぞ」
「んー…ぅん。もう少し…あと5分…だけ」
「起きろ!しえみお嬢様!」

中々起きないしえみにしびれを切らして思わず怒鳴る燐。しえみはようやくベッドから体を起こした。しかしその姿を見た瞬間、燐は顔を真っ赤にして後ずさりをし、部屋に隅まで移動した。しえみは寝間着ではなく、ピンクの下着しか着けていなかった。キラキラ輝いて見える白い肌、胸の谷間、綺麗な脚。全てが輝いて見える。まるで燐を誘惑しているようだった。

「ん…燐、今日もご苦労様」
「あ、ああ。そ、それよりその恰好をどうにかしろ」
「んぅ?」

まだ寝ぼけた様子でしえみは笑った。けれど燐の目にはしえみの下着しか入らない。キラキラといつまでも輝いていて、燐を誘う。だが当の本人にはそのつもりはなく、ニコニコと笑っているだけ。燐は思い人の鈍感さに小さく笑った。

「しえみお嬢様、食事の用意するから着替え、早くしろよ」
「はーい」
「じゃあまたあとで来る」

燐は最後に執事らしく丁寧にお辞儀をして、部屋を出た。そして部屋の前で一つ大きな深呼吸をした。


俺は執事で、君はお嬢様
(あいつはお嬢様…我慢、我慢だ!)

続編


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