今日は最高のハッピーデーだと燐は思う。なぜなら、大好きな女の子の胸に顔を挟まれるという嬉しいハプニングがあったから。当たり前だが、決してそれは狙ってそういう状況になったわけではない。しえみのドジっぷりが生んだハプニングだ。今もなお、しえみの胸に埋もれている燐は至福の時間に頬が限界まで緩んでいた。だらしのない顔だが、しえみから燐の顔は見えていないようだから燐は直そうとはしない。やがて、しえみはやっと自分たちの体勢が誤解されてもおかしくない体勢だということに気づき、思い切り起き上がった。

「り、燐ごめんねっ!大丈夫?どこか怪我してない?」
「あ、ああ!俺は大丈夫だ!傷一つねえから心配すんな!」
「そう?なら、良かった…。ごめんね、私が転んだりするから…」

数分前、しえみが転びそうになったとき燐がとっさにしえみの前に移動して体を支えた。だが、支えきれずそのまましえみは燐の上に倒れた。そして、さきほどの状態になったのである。しえみは申し訳なさそうな、今にも泣き出しそうな表情で言う。そんな彼女を見て、燐は優しく笑って頭を撫でて言った。

「しえみのそういうとこが俺は気に入ってんだよ。だから…うじうじすんなバカ」
「…燐、ありがとう」
「おう」


うじうじすんなバカ


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