▽菅原視点


数年前。清水を初めて見たとき、俺は息をするのを一瞬忘れた。
どうしたらこんなに綺麗な女の子が産まれるのだろうと疑問に思うほどに清水は整った顔をしていて。纏う空気そのものが澄んでいて、彼女が廊下を歩いているとすれ違う人たちはみんな道をあける。まるで踏み入れてはいけない聖域が彼女の周りに存在するかのようだった。
侵してはならない領域がそこには存在して、俺にとっても彼女は遠い存在だった。だけどバレー部に入部してみると一瞬でその存在は俺にとって身近なものとなり、清水はマネージャーとしてそこにいた。

(近くで見てもやっぱり綺麗な子だな)

今まで近くで清水を見ることはできなかった俺は、今日初めて至近距離で清水を見ることができた。長い睫毛に綺麗な深い紺色の瞳、白い肌にぷっくりと瑞々しい唇。その何もかもが整っていて。魅了されるのも仕方ないと思う。
思わずまじまじと見てしまった俺の方を清水がちらりと横目で見てきた。目があった瞬間体温が一気に上昇して頬が熱くなるのを感じる。頬だけじゃない、体全体が熱くなり手先はびりびりと痺れている。こんなこと初めてだった。

(あ、俺、この子のこと好きなんだ)

その瞬間そう自覚した。

ふと清水に恋した数年前を思いだし懐かしさから頬が緩んだ。未だに思いを伝えずにいる俺の恋は平行線をたどっている。別にこのままでいいとすら最近は思っている。部員とマネージャーという立場で、なんの不自然さもなく彼女の近くにいられるならそれで十分幸せだと。確かに清水を独り占めしたい気持ちが無いわけではないけど。

「清水、ごめんタオルもらっていい?」
「はい、どうぞ。お疲れ」
「ありがと」

こういう何気ない会話でも幸せを感じてる時点で俺は清水にベタ惚れなわけで。清水はこんな俺を知ったらどう思うんだろう。迷惑だとか、気持ち悪いとか、そんなこと思われたらどうしよう。いや、そもそも思いを告げることがないからそんな心配いらないんだけどね。
ああもう俺って本当に清水が好きで好きで仕方ないみたいだ。

(ねえ、清水どう責任とってくれる?)


息をするたび、恋に落ちる
title by レイラの初恋

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まっつんへ
リクエストありがとうございました!
#お前の書くこのCPが見てみたい




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