休日、何もやることがなくランニングでもしようと着替えて外に出た東の耳に聞き覚えるのある声が入ってきた。その声は近くから聞こえてくる、東はその声のする方へ走っていった。着くとそこには青葉がいたが数人の男に囲まれている。青葉の腕を無理やり引っ張り何か話しかけている。青葉は必死で抵抗しているようだが、男数人では敵うはずもなく、連れて行かれそうになっていた。東はその光景を見た瞬間、いてもたってもいられなくなり、駆け出した。

「女一人に男が寄ってたかって何してるんだ?」
「あ、ずま先輩?!」

青葉の腕をつかんでいた男の腕をつかみ、睨むとその男は一瞬つかむ力を弱めた。その隙を逃さず、東は青葉の手を握って駆け出した。男達は途中まで追っかけてきたが、普段から体を鍛えている二人に追いつくはずもなく3分ほど経ったとき諦めて追いかけるのをやめた。二人は近くの公園に入ってベンチに座って呼吸を整えた。そして青葉は東に礼を言った。

「東先輩、ありがとうございました。迷惑をお掛けしてすいません」
「別に気にしてない。だが、何であんなところをウロウロしてたんだ?」

東の言うあんなところというのは、ガラの悪い男達がうろつくと噂の場所だ。そんなところに何故女一人でウロついていたのかが気に食わなかった。東の不機嫌そうな顔を見て、青葉は何も言えなくなり下を向く。すると東は突然青葉の腕をつかみ立ち上がる。そして人気のない茂みに連れて行く。青葉はわけが分からず、東の方を見てどうしたんですかと問おうとした。しかし、次の瞬間には東に押し倒されていて聞けなかった。

「あず、ません、ぱい?」
「もしこんな風に襲われたらどうするつもりだ?」

そう言うと、東は青葉の胸を服の上から優しく揉む。驚いて東の胸を叩いて抵抗するが青葉の力ではどうすることもできずに東は行為を続ける。東は最初に青葉の首筋に口付ける。薄く開いた唇から漏れる吐息が青葉の首筋をくすぐる。青葉は力が抜けて、抵抗する手を止めてしまった。東は青葉の下半身に手を伸ばし、下着の上から優しく撫でると青葉は声をもらす。そのとき東は行為をやめた。

「次からは気をつけろ。…今のことは忘れてくれ」
「は、い」

東は本当に伝えたいことは伝えられないまま、その場を立ち去った。青葉の傷ついた表情を見たら何も言えなかった。東は胸の痛みを残したまま、ランニングを再開した。


∵本当に伝えたいことは
(自分のものにしたかっただけ、なんて言えるわけない)



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