気づいたら月島のことを目で追っていた。最初は好奇心から見ていた、だが今は違う。明らかに月島を女として見ている自分がいて、少し動揺した。女子高生なのに恋に関心がなく、野球一筋な月島。誰にもフレンドリーに接する月島はいつも笑顔で俺も自然と笑顔になった。俺にはどんな月島も輝いて見えて、一番輝いているのは野球をやっている時の月島だった。

「月島ーバッティングピッチャー頼む!」
「はい!」

顔に泥がついて汚れているのにそんなの気にせず嬉しそうにボールを投げる。女とは思えない速さに野球部員はいつも驚かされる。あの球を打つのはとても気持ちいい、それはただ球が速いからではない。月島が投げているからでもある。

***

「…あ、課題やるの忘れた」
「あ、月島俺見せてやるよ!」
「ありがと」

めったに忘れることのない月島がそう呟いたその瞬間、月島の周りには1年の非レギュラーが群がった。俺が、いやいや俺がとあっちこっちに引っ張られる月島。いつもなら月島がそこで怒鳴り、場は収まるのだが、今日は珍しく。月島が嬉しそうににこっと優しく笑って礼を言うから、収拾がつかなくなったのだ。

「おおおお!月島が笑ったああ!」
「ちょ、どうした月島?!何か悪いものでも食ったのか!」
「いつもその笑顔でいればいいのに」

…同じ学年なら月島を近くで支えてやることもできる。同じ学年なら沢山話す時間がある、傍にいることもできる。考えるとキリがない。俺はこんなに月島のことが好きになっていたのか、何だか自分じゃないようで笑えた。

「東、お前今顔ひでえぞ」
「…分かっている」

今の俺は嫉妬で歪んでいる。苦しくて、辛くて、けど必死で足掻く…月島を手に入れるために。


∵同じ学年だったら良かった
(胸が痛む)


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