今日も空は快晴。どんなに遠く離れていても、同じ空の下に貴方はいる。

「本田、元気にしてるかなー…」

薫は、吾郎宛てに手紙を書いている真っ最中であった。

***

「茂野君」

突然後ろから声を掛けられゆっくり振り向くとそこにはにやと嫌な笑顔を浮かべる静。吾郎はめんどくさそうに頭をかきながら何だよと言った。静は変わらずにやにやと笑いながら一通の手紙を取り出し吾郎に渡す。「彼女、からの手紙よ。良かったわね」と『彼女』を強調させて。監督の言葉に反応した夢島組の者達はものすごい勢いで振り向く。そしてあっという間に吾郎を取り囲む。吾郎に彼女がいるということに驚いたようで口をポカンと開けたまま固まっている。失礼な奴らだなと思いながらも手紙の中身を確認する。中にはかわいらしい便箋2枚と、聖秀野球部と清水が写った写真。もう一枚の写真には清水と大河が写っていた。

「清水さん元気そうだね。吾郎君、良かったね」
「ああ。田代達も元気そうだしな」

写真を見ながら寿也にそう言われた吾郎は笑顔で答える。その時後ろに鋭い視線を感じ振り向くと、泉達が吾郎が手に持っている写真をじっと見ている。吾郎は急いで写真を封筒にしまおうとするが間に合わなかった。その写真は泉達の手に渡ってしまった。

「どれどれ……。ちくしょー!茂野になんでこんなに可愛い彼女ができるんだよ!」
「うっわ。ショックや」

泉や三宅達がショックを受けてそんなことを言った。他の者達も言葉に出してはいないが心の中ではそう思っているだろう。吾郎はその様子を見てため息をつき、手紙を読み始めた。

−−−−−−−
今度一週間休みらしいな?
私も、暇だし会いに行ってやるよ!
たまにはいいとこ連れてけよな!
清水 薫
−−−−−−−

「嘘だろ…?」
「嘘じゃないよ吾郎君。久々のデート楽しんできなよ」

乗り気じゃない吾郎だったが、寿也にそう言われああと笑顔で答えた。その会話を泉達は聞き逃さなかった。

***

あの後、薫とデートの計画を立てた吾郎は薫との待ち合わせ場所にいた。中々来ない薫に吾郎はイライラしていた。と言ってもまだ待ち合わせ時間を5分過ぎたぐらいだ。ウロウロと歩き回る落ち着きのない吾郎を夢島組の者達はこっそり見ていた。

「茂野イラついてるな」
「あいつ短気やからなあ。でも彼女の前ではメロメロちゃう?」
「それあり得る!」

こっそり覗きながら語る泉に三宅。面白半分でついてきた国分や児玉もその会話を楽しそうに聞いている。しかしそんな男達に混じって、不機嫌な者もいた。草野と寿也だ。寿也は、吾郎のデートを邪魔したくないのでついていきたくなかったのだが無理やりつれて来られたらしい。ため息をつきながら吾郎に心の中で謝る寿也だった。
数分後、薫は可愛らしいワンピースを着て走ってやってきた。吾郎を見つけた瞬間やわらかい笑顔を浮かべるので、不覚にも泉や国分はドキッとする。

(可愛い…)

「本田!遅れてごめんね…急に用事が入っちゃって」
「気にすんなよ。遅刻っつったって10分ぐらいだしな」
「うん…でもごめんね」
「もういいって。てかそれより腹へった。先に飯行こうぜ、飯」

その言葉に薫は笑顔でうんと答えた。


∵野球馬鹿に会いに行こう



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