「はい、さくらんぼ!お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが、くれたんだ」
「わぁ…!おいしそう!寿君のおばあちゃん達優しいね!」

寿也が薫に差し出したさくらんぼは綺麗な赤色で表面がきらきらと光って見えた。とてもおいしそうで薫は早速さくらんぼを一つもぎとる。そして口にゆっくりと入れてみると、甘い汁が口の中で広がる。薫はパアッと目を輝かせ、おいしいと言うと寿也も笑って頷く。薫はその後もさくらんぼを食べ続けた。あまりのおいしさに手が止まらない。食べる度においしいと言って幸せそうな顔をする薫を見て寿也も嬉しそうだった。

「んー…おいしい!」
「10回目だよ、おいしいって言うの」
「それだけおいしいってこと!」

薫が笑ってそう言うので寿也もまあいっかと笑った。仲良く片方の手を繋いだままさくらんぼを食べる二人。とても幸せそうで、ゆったりと時間が流れているように感じる。

「さくらんぼの枝を舌で結ぶことが出来ると、キスが上手いってよく言うよね」
「うん、実際どうかは知らないけど…」

すると突然薫がそんなことを言った。あまりにも突然で少し寿也は動揺する。薫は目をキラキラと輝かせて寿也を見つめる。そんな満面の笑みを見たら、後に退けなくなった寿也は枝をパクッとくわえた。むぐむぐと舌を動かす。流石に無理か…とガッカリした表情をする薫の頭を寿也を撫でる。

「やっぱり無理っぽい?」
「もう少し待っててくれる?…あ、出来た」
「おぉ!すごい!」

寿也はペロッと舌をだして見せた。すると、さくらんぼの枝は見事に結ばれていた。薫は嬉しそうにきゃっきゃっとはしゃぐ。

「ということは…寿君は、キスが上手いってことだ!」
「そうとは限らないんじゃないかな?」

寿也も半分呆れ顔で言った。そんな寿也に薫は「キス上手そうな顔してるのに…」と呟く。その言葉を寿也は聞き逃さなかった。にやりと笑い薫に試してみる?と聞く。薫は顔を真っ赤にして首を横に振る。が、寿也がそれを許さなかった。ぎゅっと抱きしめ、逃げ場をなくす。

「え、え?」
「あははっ!薫ちゃん可愛い」
「と、寿君!」
「可愛いから、ついついキスしたくなっちゃうよ」

そういい終わるのが早かったのか、キスの方が早かったのか、まったく判断できなかった。気づくと、薫の唇は寿也の唇と重なっていた。あったかい唇の感触と甘いさくらんぼの味がする。薫は拒むことができなくなり、寿也を受け入れる。

「寿くん、大好きだよ」


∵さくらんぼキッスでとろけちゃう
(ふふ、さくらんぼ味のキスだね)
(僕には薫ちゃんの唇の味しか分からなかったけどなぁ)
(寿君!)



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