あ、れ…いつのまに?
「ちょ、お、おい…清水?」
「ふ、ふぇっ…うぅ…」
ふと気がつけば、腕にあった温かさが消え清水がしゃがみこみ泣いていた。
「もしかして…怖いのか…?」
あの男女の清水が?男以上に勇ましい清水が?今目の前にいる清水は、とても弱弱しくて…可愛い。普段の清水からは想像できない姿だな…。
「ご、ごめん本田…っ。わ、私お化け屋敷だけは苦手で…っ」
泣きながらも声を絞り出してそう告げた。自然と上目遣いになるので、可愛さが増して吾郎は色々な意味で限界だった。
「別にいいんだよ、んなこと。それより苦手なら何で入ったんだよ」
「だ、だって…本田と少しでも長くいたかったんだもん…」
少し躊躇ってから出た言葉は、とても素直で可愛くまっすぐであった。薫はすっとまっすぐ吾郎を見つめた。その瞳にはまだ涙がたまっていた。
「…ハァ…しゃーねぇな。ほらよ、手」
「うん、ありがとう」
―本田の手はおっきくあったかくて、私を心配してくれているということがすごく伝わってきた。本田の優しさが、本田の温かさが、本田の何もかもが、私は大好き。
「出口見えてきた!」
「おー、もうちょっとだ我慢しろよ」
∵彼女のかわいい一面
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