「本田なんて大っ嫌い」
「…!!」

「嫌い」なんて嘘に決まってる。私がまた変な意地を張って素直に気持ちが言えず、嫌いなんて言葉が出てしまっただけ。自分が素直じゃない可愛げのない女だというのは十分承知していたけど。今度ばかりは本当に女としてひどい態度を取ってしまったと少しばかり後悔した。
ただのヤキモチから始まった。最初は我慢できたけど、後から押し寄せてくる嫉妬の波に飲まれてしまう私。先ほど本田にそのことでからかわれて恥ずかしくなり嫌いなんて言ってしまった。ヤキモチ妬いてたくせに、自分はそれを認めず相手を傷つけた。一番最低なのは私、それは分かっているけど。本当に嫌いなのはこんな醜い嫉妬をする「自分」だ。

謝らなくちゃと何度も頭で考えるけど、謝る勇気がない。うじうじしている自分が本当に嫌だった。嫌い。嫌い。大嫌い。

「その、さ…悪かった。からかったりして」
「え…?」
「さっきのなんていうか…そうだったらいいっていう想像っていうか」

本田は珍しく自ら謝った。そんなこと初めてですごく動揺して何を言っているのか初めは理解できなかった。

「清水がヤキモチ妬いてくれたら嬉しいって思ってな」
「そ、それって・・・私のこと好き、ってこと?」
「…す、好きだ。わりいかよ?!」
「ぷっ…悪いだなんて言ってないのに…」

本田の顔を真っ赤にしてそっぽ向いたその動作も可愛くて、私まで笑顔になった。


∵「嫌い」の言葉に隠された意味
(本田、かわいい!)
(お、おま!馬鹿にしてんだろ?!)


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