今、目の前にひとつの朝。貴方と私と…子供2人と迎える幸せな朝。


「いずみ!ほらほらもう学校行く時間でしょ?」
「えー?ママ、私ご飯食べてないよ?」
「あ、やだ!」

新米母、清水薫は急いで子供の朝食を用意する。いまだに慣れないことばかりで母親になるというのはこんなにも大変なことだったのかと自分の母親を改めて尊敬する。しかしそれと同時に、家族と一緒に朝を迎えることができる幸せをかみ締めていた。娘、いずみは今年小学校に上がったばかりの新1年生である。まだ一人では学校に行けないので薫が送り迎えをしている。

「いずみ、ご飯食べた?」
「うん!食べたよ!」
「そう、じゃ行こっか」

薫が優しく微笑みながら頭を撫でるといずみも嬉しそうに笑う。手をつなぎ、玄関へと向かおうとするが一つあることを忘れていたことを思い出す。階段を数段のぼり、声をかける。

「吾郎!ちょっといずみ送ってくるから!」

すると寝癖がかなりついた頭をぼりぼりとかきながら吾郎が降りてくる。眠そうに欠伸をしながら、「気をつけろよ」なんて言う。薫はうんと優しく微笑むと吾郎は薫の額に触れるだけのキスをする。

「行ってらっしゃい」
「…ふふ、行ってきます」

その様子をいずみは嬉しそうに笑って見ていた。


∵今目の前にひとつのあさ

※合唱曲「ひ/と/つ/の/朝」から抜粋。



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