篠岡に田島が渡していたものは、炭酸のジュース。珍しく気を遣っている田島を見て、なんとなく嫌な予感はしていた。何か裏があるんじゃないか、と。考えすぎかと思って俺は練習に集中しようとその場から離れようと思ったが出来なかった。
プシュッ シュワワワワ
缶を開けた後に聞こえた、泡が吹き出る音。それの正体は明らかに先ほどの篠岡の手に握られていた炭酸ジュースな訳で。はあとため息をついて振り向いた俺は、暫く石化してしまった。
「た、田島くん!これ、振ったりした?!」
「うん!そのほうがおいしくなるかなと思って…ってあ!しのーかブラ透けてる!」
「え、あ、きゃあ!」
篠岡が涙目でそう尋ねると田島はニシシシと笑いながらこたえる。つーか、振ったらおいしくなるなんてありえないだろ。やっぱり裏があったか…。それより篠岡の服を何とかしたほうがいいんだろうけど、俺らじゃどう対処すれば分からねえし…。というより、目のやり場に困るんだよ!いつの間に集まったのか、他の奴らも篠岡の下着が見える程度の距離にいた。
顔を真っ赤にして手で顔を覆っているくせに指の隙間から覗くようにして見ている栄口。照れながらもばっちり見ている水谷や三橋。見ないように目を逸らす西広や巣山、沖。遠慮がちにちらと見る泉、花井。
「あ、あの、その…これ、使う?」
「み、水谷くん、ありがとう…」
水谷が未使用のタオルを手渡すと篠岡は恥ずかしさで赤くなりながらもタオルを受け取り、胸を隠すように持った。田島はそれを見てチェッと拗ねて、練習へ戻ろうとしたがそれは花井達の手によって止められてしまった。
「た じ ま あ !」
「うわっ、何すんだよ花井ー!」
「何すんだよ花井ー、じゃねえよ!篠岡になんてことしたんだお前は!」
「えー、篠岡のブラ見たかったんだよ仕方なくね?」
こ、こいつ駄目だ!見たかったら何でもするってか。まじで恐ろしい、こいつ。なにやらかすか分かんねえんだもんな。
「で、でもブ、ブラはまずいよ田島」
「そ、うだ、よ!」
「えーそっかー?それならこれからはやんないことにする!」
「「ぜひそうしてくれ」」
∵振るな危険。
(炭酸は決して振っちゃ駄目だよ!)
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