その日もそれはもう暑かった、砂漠にでもいるんじゃないかってぐらい暑い。表現が大げさかもしれないけど何もしてなくても汗はだらだら垂れてくるほど。私は水道で選手のユニフォームを洗濯、こんな炎天下の中で水に触れるのはすごく嬉しい。ふうと一息つくと百枝監督に話しかけられた。

「千代ちゃん、急なお願いなんだけど聞いてくれる?」
「あ、私に出来ることだったら!」

監督が遠慮がちに私にものを頼むのは滅多にないことだったので緊張してしまった。

「三橋くんが三星にいたのは知ってるよね?」
「あ、はい。叶さんたちと一緒に」
「そうそう!それでね、今度練習試合組んだから一応偵察に行ってほしいのよ。ちょっと遠いんだけど」
「全然大丈夫です!いつ行けばいいんですか?」
「明日行ってくれるかな?明日の練習千代ちゃんは不参加って伝えとくから」
「わかりました!」

三星かー…三橋君のいた学校。ちょっと興味あったからいい機会かも。そう思うと偵察楽しみになってきた!


翌日、私は朝早くに家を出て電車で三星に向かった。三橋君のいた学校と思うとなんだか嬉しくなってじろじろ見ちゃったっていうのは内緒。私はグラウンドを目指して足を動かした。

「あ、篠岡さん?」
「へ!?」

突然後ろから話しかけられて変な声出ちゃった…!で、でも私の名前なんで知ってるのかな?

「あ!叶さん!」
「こんなところで何してるの?西浦から三星って結構距離あると思うんだけど」
「あの、えっと……偵察です」

言っちゃったけど、本当のことだもんね。こそこそするのも好きじゃないしいっか。

「あはは、篠岡さんって素直で可愛い」
「そ、そんなっ!」

なんでこんなこと普通に言えるの?言われなれてないからすごく恥ずかしい…。

「あ、それと偵察するならあそこの隅が一番見やすいよ」
「え、い、いいんですか?」
「うん、篠岡さんなら大歓迎」
「ありがとうございます!」

そういうと、叶さんはグラウンドに向かって歩いてった。

「優しいなぁ、叶さん」

...

「うわ…まじで緊張した!」
「あー篠岡さんと話すのが?」
「そ…だって篠岡さん可愛すぎるんだもん!」
「はいはい…だったらさっさと告白して付き合ったらどうや?」
「それには俺反対だ」
「はぁ!?何でだよ!」
「俺もあの子のこと結構気に入ってるから」
「え、まさかのライバル出現?」
「いえす!」
「なんか、きもい」


∵可愛い偵察さん


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