青、赤、白の紐を交互に結び完成させたのはミサンガ。リョーマ君にあげるために、手作りにチャレンジしてみたけど気に入ってくれるかということを考えると不安だな。私は手の上に乗った一本のミサンガを見つめため息をついた。いつも行動を起こせずにいる私だから、作ったのはいいけど渡すことができずにいる。渡したいけど、恥ずかしいしいらないって言われたらショック…そんなことを考えてるうちにもう1時間経っていた。

「うぅ…や、やっぱり無理!は、恥ずかしい…それにこんなの渡されても迷惑だよね」

そう思い込みたいのかもしれない。そうすればこんなに悩む必要もないのだから。でも折角作ったのに、と同時に残念な気持ちにもなる。優柔不断なんだと思う。

「や、やっぱり渡そう。いらないなら私がつければいいし…うん」

そう決めて、テニスコートに走っていった。リョーマ君は練習中で、桃城先輩とストレッチをしていた。邪魔するのは良くないかなと思って、背を向けた瞬間声をかけられた。その声の主は、リョーマ君だった。

「あ、リョ、リョーマ君?どうしたの?」
「別に。あんた用があって来たんじゃないの?」
「あ、う、うん」

私は渡すか渡さないかでまた迷ったけど、結局ミサンガを差し出した。リョーマ君は首を傾げて、くれるのと聞いてきた。私はドキドキしながらもうんと頷くと、リョーマ君は微かに笑い、ありがとと呟いた。私も笑顔でこたえた。

「じゃ、練習戻るから」
「あ、が、頑張ってね!」

リョーマ君の後ろ姿を暫く見ていた。いつでも輝いていて、遠い存在。でも私もリョーマ君に少しでも近づけるように努力しよう。


∵ありったけの想いをミサンガに



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