※パラレル
跡部景吾、有名なホテル会社の若き社長。そんな社長に新しくついた秘書は、天然でドジで、今までのエリート秘書とは全く違うタイプであった。しかしそんな彼女のことを跡部は気に入っていた。めったにお目にかかれないほどのドジっぷりやたまに見せる笑顔が可愛いらしく、どっぷり彼女の魅力にハマっていた。
「桜乃、今日の予定はこれで最後か」
「え、えと、…そうですね」
スケジュール表をぱらぱらとめくり目的のページを見つけ笑顔でそう言う桜乃に跡部も微笑み返す。桜乃の頭をくしゃくしゃと撫で、大会議室に向かった。会議は思ったより早く終わり、いつもより早く帰れそうであった。
「今日は早く帰れますね。跡部社長」
にっこり笑顔でそう言われるが、跡部は険しい表情で桜乃を見る。
(こいつは、もっと俺様と居たいとか思わないのか…?)
跡部はもう少し桜乃と一緒に居たいと思っていただけに、ショックなようであった。桜乃は、そんな跡部の気持ちも知らずにただ跡部に笑顔を向ける。自分だけそんな気持ちだったと思うと、悔しくてたまらなかったらしい跡部は、桜乃を抱き寄せて耳元に唇を近づけ囁く。
「今日は帰さねえからな?桜乃」
低い声でそう呟かれ、桜乃は耳まで真っ赤になりああ、ううなど、言葉にできず口ごもる。そんな桜乃を見て跡部は、悪戯に成功した子供のような笑顔を見せた。
∵イタズラによって得た満足感
(あ、跡部社長…やっぱり無理です)
(もう遅い)
》BACK