本当にお前…、いい加減にしてくれ。


「跡部さん、あの服なんてどうでしょうか?跡部さんの彼女さんにきっと似合いますよ」
「アーン?彼女なんていねぇよ」
「え?でも女が好きそうな服を一緒に選んでくれって…言いましたよね?」

お前なんでこんな天然なんだ?確かに俺は、「女が好きそうな服を一緒に選んでくれ」とは言ったが彼女がいるとは言ってねぇ。そんなのお前と一緒にいるための口実なんだぜ?

「お前だったらどんな服が欲しいんだ?」
「私ですか?えーっとですね…あのピンクのワンピースですかね」

ふーん…桜乃らしいな。なかなかいいセンスしてるじゃねぇか。

「少し待ってろ」
「あ、はい」

今日は無理に付き合わせちまったから、俺様からのささやかなプレゼントだ。それに、あいつの喜ぶ顔が見た…い?ってちょっと待て、俺。最近キャラが変じゃねぇか?アーン?乙女思考になっている気がするんだが。忍足の影響か?あいつ、少女漫画好きでそのうえ変態…ちっ。そんなことはどうでもいい。あいつを待たせるわけにもいかねぇしな。

「桜乃、待たせて悪かったな」
「あ、いえ大丈夫ですよ」

ニコッって!何だこいつ!可愛すぎる…!くそっ…誰にも渡したくねぇな。

「桜乃、俺様の傍にずっといろ」
「……」

気づけば、俺はそう言っていた。だが桜乃は無言。やっぱり越前のことが好きなのか?

「あ、あの…私でいいんですか?」
「アーン?お前がいいから傍にいろって言ったんだよ」
「跡部さん、大好きですっ!」

不意打ちは卑怯だろ。

「これからは名前で呼べ」
「景吾さん?」
「…っ!」

上目遣いでそれはまずい…っ!

「景吾さん…?顔真っ赤ですよ?」
「み、見るんじゃねぇ!」


∵いい加減にしてくれ天然ガール



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