!パラレル注意・狼少年と魔女設定



今日は快晴。魔女である秋もほうきに乗って友人との空の散歩を楽しんでいた。陽気に歌を歌って、たくさんお喋りをして、楽しそうに笑っている。しかし突然雲行きが怪しくなってきた。青い空は、灰色の雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうである。雨が降る前に帰らなくては、と秋は友人と別れを告げて家に戻ろうとほうきの向きを変える。その瞬間突風に襲われ秋はほうきのバランスを崩し、真っ逆さまに地上に落ちて行った。

***

目が覚めればそこは、暗い森の中。夜でもないのにコウモリがざわざわと飛び交っている。初めて踏み入れた場所はに恐怖を感じずにはいられない。何が現れるか分からないこの場所から早く逃げなくてはならないと思うが、ほうきはボキボキに折れており、帰れない。帰りたくても帰れないこの状況に泣き出しそうになるが、泣いたら自分自身混乱してしまうと秋は分かっていた。だから泣かなかった。泣けなかった。

必死に考えを巡らせていたそのとき、1人の少年が姿を現した。狼のような耳に尻尾をつけているが、それ以外は普通のどこにでもいる少年。秋は初めて見る狼男、というより狼少年に驚き秋はしばらくその少年を見つめてしまった。しかししばらくして両親の言葉を思い出して固まってしまう。「喰べられる前にお逃げなさい」と言った両親の表情は真剣そのもので、どこか怯えているようにも見えたことを秋は今でも覚えている。逃げようとしても、秋の足は杭を打ち込まれたように動かない。

(うご、かないっ!こわ、い。やだ、たすけ、て、)

呼吸をすることさえ、上手くできず苦しくなってきた。今にも倒れそうなぐらいの吐き気もする。秋が食べられるのも覚悟で目を閉じた。しかり耳に入ってきたのは思いもしない言葉。

「友達になろうぜ!」
「えっ?」
「遊ぶ相手いないんだ。だから、友達になろうぜ!」

そう言う少年の笑顔はとても輝いていて、悪いことをするようには見えなかった。何より、何か人を惹きつける魅力を持っている。秋は気づけば「今日から友達ね、よろしく」と口にしていた。すると、少年は人懐っこい笑顔を浮かべるのだった。


たどりついた場所
(そこには、素敵な出会いが待っていた)

title by 無限ノート

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25万打ありがとうございました。



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