!暗いお話(恋愛を拒む春奈)
他人の恋には心底興味がない。誰が誰を好きとか、聞いてても何とも思わない。けれど、木野先輩と夏未さんは別で、二人の恋は見ていて応援したくなる。一途に思い続ける先輩たちは輝いていて、とても女の子らしくてかわいい。いつか私もそんな恋ができる相手が現れるのかな、なんて考えたことは一度もない。興味がないから。
「音無さん…あの、その、」
おどおどしながら私に話しかけてきたのは立向居君。キャプテンに憧れを抱いている一人の男の子。いつも一生懸命でまっすぐな彼は正直私にはまぶしすぎて、近づけない。偽りがないだろう立向居君は私をまっすぐ見つめて言う。「好きです」と。息が一瞬できなかった。言葉を理解するのに数分は要した。あぁ、ごめんなさい。私は彼が好きではない。恋愛対象としては見れない。お友達としてしか付き合っていけない。
「そ、っか…困らせてごめん、音無さん」
泣きそうな顔で言わないで、私も辛いから。けど私にはこうこたえるしかできない。嘘で付き合ったとして彼は私が無理に付き合ってるってすぐに分かるだろうから。それなら最初からはっきりしておいた方がいいと思ったの。ごめんなさい、本当にごめんなさい。立向居君。
私が心の中でまだ彼のことを引きずっていたとき、今度は風丸さんと不動さんが近づいてきた。真剣な表情で、私を見てくる。何かと思えば同時に告白をされた。私は「ごめんなさい」とすぐにこたえた。恋愛、というものが私にできるはずがない。あんなにキラキラしたもの、私にはまぶしすぎる。私は一人でいるのがお似合いなんだと思う。
「なら…仕方ないな」
ひどく傷ついた表情をした二人だけど、すぐに笑って背中を向けた。あぁ、今日は人を傷つけてばかり。けど人を振るっていうのは、自分自身も傷つくものだということも分かった。その証拠に今、心がずたずたに引き裂かれたように痛い。勇気を出して告白をしてくれた立向居君たちはもっと辛いはず、そう思うとさらに辛くなる。けど、こうするしかできない。ごめんなさい、ごめんなさい。そして私を好きになってくれてありがとう。
たしかにそこには愛があった (でもこたえることはできない)
title by Aコース
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